観劇三昧「皆さん、本日ご来場ありがとうございます。観劇三昧は動画配信を元々やっている会社なんですけれども、下北沢で演劇グッズの委託販売もやらせてもらってまして、すごく近くで素敵な公演をやられているので、ぜひいろんな裏話をしてほしいということで、ちょっとご無理を言って、新ロイヤル大衆舎の4名の方に来ていただきました。これから30分くらいもうお好きなように話してくださいというようにお願いしておりますので、皆さんも楽しんでいってください。窮屈で申し訳ないのですけど、楽しんでいただけたら嬉しいです。そういうわけで、あとは新ロイヤル大衆舎の皆さん、お願いします!」
4名「はい、お願いしまーす!」(拍手)
福田転球って名前出しても、なかなか響かない
山内「たくさん集まっていただいて、ねぇ。」
大堀「んふふ」
山内「んふふやあらへんけど。何から話したらいいんですかね。まあ、そもそも」
長塚「そもそもね!あんまりパンフレットと重複するとあれなんですけど、なんで始めたのかってさっと始めると、大堀さん…大堀さんが」
大堀「あ、僕大堀と申します。」
長塚「大堀こういちさんが福田転球さんと一緒に何かやりたいと。で、転球さんが本書いて、」
山内「大堀さんがお金欲しかったんよ。娘さんも再来年?ぐらいに大学やし。ちょっとお金が欲しい。んで、転球さんが本で、圭史が演出なんかしたら面白いんじゃない?で山ちゃん出ない?とにかくお金が欲しい。そっから始まったん。ところがこれが二転三転して」
長塚「そうそう、似たような公演があったんすよ。よりによって河原雅彦さんが演出して、転球さん書いて大堀さん出てるっていう、なかなか面白い芝居だったんですけどグローブ座でやってて。これは似たようなことやってるのにまたやるのいやだな、って思って頓挫しそうになったんですよね。」
福田・山内「うん」
長塚「でもそしたら、ふと僕がずっと昔から『王将』っていう本を知ってて、それでもっと大きな劇場の企画で挙がったんですけど、そのときから福田転球さんでやりたいんだという思いを伝えてた。んですけど、まあ800の劇場で福田転球って名前出しても、なかなか響かないんですね。」
福田「おおーい!おいおいおいおーい!」
長塚「響かなくてー、それでまあなにくそと思うわけですね。」
山内「なんぼ脇有名にしても、」
長塚「だめなの」
山内「厳しいです」
長塚「そうなの。やっぱ福田転球主演でっていうとどうもうーんってなるわけですね。だから、僕はずーっとあたためてたんだけど、もちろんプロデューサーは(転球さんが)いいってわかっているんだけどちょっと落ち着いてくれと、言われて。で、そんな中企画が倒れそうになったところで、はっと思いついて。このメンバーで、しかも山内君にやってほしい役どころもあるし、こんないい企画はないんじゃないかと思って。で、800の劇場ダメだったら80くらいがいいんじゃない?って。」
大堀「ゼロ一個少なくしたね。」
そのたんびに大堀さんは『えー!?』
山内「だから、まず王将三部作、実はこれがあると。でこれを一挙にやれへんかと、どうせなら一挙にやるぐらいじゃないと面白くないと思う。じゃあどういう形でやる?たとえば本多劇場で一週間やる?とか。まあ、それってあるやろ、想定内やわ。想定外のことをちょっとやってみようか。限りなくちっちゃいところでやってみようか。そのたんびに大堀さんは『えー!?』」
福田「ちゃりんちゃりん、ちゃりーん」
山内「ちゃりんちゃりんちゃりーん、ちゃりーん」
大堀「おかしな方向行ってんなー。」
山内「でも一応リーダーと呼ばれ」
長塚「そう、言い出しっぺやから」
福田「祀り上げられて」
山内「やっぱり下北沢あたりがでやりたいなってことで、楽園になったんすよね?」
長塚「そうですそうです。それで、あの空間やっぱり柱があったりってややこしいじゃないですか。やっぱややこしいってのは大体面白いことが詰まってて。結局美術の堀尾幸男さんと相談しあって、あの使い方…」
山内「堀尾さんが来たのもすごいけどね。」
大堀「まあね」
長塚「電話して、一部か二部か三部どれかだけでもやってくれないかなって言ったら、全部やらせてよって」
福田「すげー」
山内「ちょうど賞とった前後でしょ?」
長塚「そう、賞とった前後。」
大堀「堀尾さんっていうのは皆さんご存じなんですか?」
長塚「堀尾幸男さんて、NODA・MAPとか。」
山内「舞台美術のもうね」
長塚「今劇団☆新感線のあのぐるぐる回るやつ(IHIステージアラウンド東京)。まだ観てないけど。」
福田「百分の一ぐらいのサイズじゃないすか?」
長塚「2人(*黒澤注:転球さんはseason鳥に、山内さんはseason風にご出演されます)とも出るねぇ。それをやってる堀尾さんがやってくれるって言ってね。だからよかったですよ。」
大堀「うん。だからどんどんそういう人たちも面白そう面白そうって集まってきてくれてね。」
長塚「そう。」
山内「でもこれがその想定内のような、興行的にちゃんとした、キャパもあるところでやっているとそうそう集まってくれなかったなと思うんですよね、逆に。」
長塚「そういう人たちがね。ほんとにそれだけじゃなくて照明の齋藤さんもそうですし、皆さん非常に優れた方たちが集まってくれて。」
山内「だから、お金はもういいからさー、よそで稼いでくれたらいいから、ちゃりんちゃりんちゃりん、えー!?ちゃりんちゃりん」
福田「もーええわー!いうて」
宣伝の写真だってスマホで…自撮り棒
長塚「でもほんとに偉いのは、山内君とかじゃあもうこういう企画だからとか言って、じゃあデザインだどうしようかって皆普通悩むじゃないですか。じゃあ俺やるって言って、デザインしてくれた」
大堀「これそうだね、これ全部そう。(モニターの『王将』チラシを指さして)」
長塚「そう、これ全部デザインして。飲み屋で写真、転球さんの顔撮って、それで二人で」
大堀「これだって(公演Tシャツ広げて)なんとなくスマホで撮ったやつだもんね。」
長塚「そう、スマホで撮った。その感じで進めていったよね」
大堀「だって始めの宣伝の写真だってスマホで…自撮り棒」
山内「自撮り棒で撮ったね」
大堀「カメラマンも雇う金ないからね!」
長塚「下北沢の駅前のマクドナルドで集合して」
大堀「4人でね」
長塚「それでみんなロイヤルな恰好してこようみたいなんで、ドキドキしながら来たら、みんな蝶ネクタイっぽい雰囲気で」
福田「そう」
山内「揃ったんよね。」
大堀「俺ちゃんと敷物持ってきたからね。」
長塚「そう、だから道で」
大堀「道で着替えられるようにね」
長塚「それぞれ何箇所かでね、こうやって、山内くんが自撮り棒持ってきて、4人でくっついて、派手な格好してずっと撮ってたんだよね。」
山内「だからもう、テーマは、DIYですよ。」
長塚「そうだね。」
大堀「うん」
長塚「ほんとに面白かった。」
前はもう、殺してやろうかって思ってたんだけどね
山内「だから僕らも新鮮でしたからね。こういうのって制作の人こんだけの苦労があったんやって」
大堀「そやねぇー。」
(*黒澤注:どうやら大堀さんは東北出身なのですが王将の影響で大阪弁になってるようです。)
長塚「それはほんとそうですね。」
山内「普段ね、お仕事でカンパニー呼ばれて行ってると全く気付かないことどんどん気付いていって、人に優しくなれる。これは大事なことだと思いますよ。」
長塚「ほら時代が時代だから稽古場とかでもずっとパソコン見てる制作の人がいると、稽古見ろよーって気になるわけですね。どんだけ大変な仕事してるのかがわかったから、あっどーぞどーぞって」
大堀「大人になったね!」
長塚「前はもう、殺してやろうかって思ってたんだけどね、うりゃーって。こんなやってたよね(福田さんの前に顔出して)」
福田「そう。」
大堀「よかった。」
山内「まあそれも初日も明けてずいぶん経って千秋楽が見えてきた状態ですからね」
長塚「いやー」
山内「ほんまに初日が開くのかどうかもわからんかった」
長塚「わかんないね」
福田「いやだから一日三本、三公演っていうね。」
山内「単純に三本分稽古せなあかんわけじゃないですか。」
福田「そうですね。」
山内「通常のお芝居の。終わらないんですよ稽古が。やってもやっても終わらない。」
長塚「一時から八時くらいで稽古するんです。そもそも稽古期間を十日間くらい早めて稽古し始めても、一時から始めて八時になるんのが早いんだよね。」
山内「早いね。」
福田「早いし、休憩短いから。着物やしなんやかんや直してる間にえっもう?っていう。ほんまそんなんやった。」
大堀「休憩少なかったな。」
山内「してられへんかった。」
大堀「そうやな。やることが多すぎて。」
山内「帰ってきて曲作って。」
福田「そうそうそう。」
やれる人間がやりゃあええ
大堀「劇中のギターとか全部この方(山内さん)が弾いて、ひとりでやってるんすよ。あれ知られてないんじゃないかって。」
福田「すごいな(肩にポンポン)」
大堀「ほんとに。編集も全部やって。」
山内「いやでもそれはやれる人間がやりゃあええことですから。」
大堀「稽古場でな、端っこで、ずっとギターとか編集やって、呼ばれるとはいはいっつって。あれはすごかったわ。」
山内「だって二人はその分ほら喋る量多いから。」
福田「いやいや、大堀さんもねぇ」
長塚「大堀さんだって飲み屋取ってくれたりとか」
大堀「そやね。」
山内「ちょっと打合せする飲み屋取ってくださいって言ったら、ここどうですか?ゆうてリンクを貼ってねLINEのグループに。だけど慣れへんからリンクがわけわからんことになってて、2ページくらいスクロールせな終わらんぐらいのリンクなの」
大堀「あれなんだろうな」
山内「あれなんだろう」
大堀「わっかんない」
山内「そんでそれ押したら、App Storeが開くっていう。なかなか店にたどり着けへんでしょ。」
大堀「でもお店を見つけるってことも大変なんだなってね」
山内「そう、そうやねん」
福田「大変ですよ」
長塚「そうだね。ほんとに(ふだんは制作さんがいて)助かってますよ」
やれる自由を持っている人はやったほうが面白い
山内「でもみんな、やったらええのにね。こういうこと。」
長塚「僕は割とこれにかかりっきりで、4ヶ月くらいやってたけど、非常にやっぱり豊かな時間で。なんでもかんでもやってもらってたことって、気が付かない間にやってくれちゃってたことっていうのにもう一度向き合えると。これだけの手がかかっていたんだってことを知れて、じゃあ自分でやれることは何かっていうのをもう一回見直すことができるっていうのは意外と経験踏んできた人たちなかなかやろうと思ってもやれないけど、やれる自由を持っている人はやったほうが面白いなっていうのを改めて思いましたけどね。」
大堀「でも、なかなか手出さないと思うよ。しんどいところには。」
山内「そうなっていくよね。」
大堀「年取ったら出さないよ。」
山内「ほんまに金にならんもんね。」
大堀「ほんとね、皆さんにはチケット代あれかもしんないけど、ほんとなんないよね。」
山内「ならないならない。ならないでしょ、ほんま俺バンッバン金減ってくもん」
大堀「なんなんやろね。なんやろ。んーなんかせやなー」
長塚「だけどほら、やっぱりお手伝いしてくれる子たち、興味持ってたらその子たちも楽しい分だけずっといちゃう。その子たちどうしようって話になるわけですよね。だからそうすると途中で炊飯器ないかみたいな。米と炊飯器だけあればなんとかなるんじゃないかっていって。そうしたら奥さんもね」
山内「そうそうそう、炊飯器用意して」
長塚「調達して」
山内「調達してくれて。だから稽古場ではみんなで飯食うわけですよ。入り乱れてね、スタッフキャスト」
長塚「そうそう」
山内「それが基本設定だと疲れてくるかもわからへんけど、みんな一周して楽しんでくれる人らやったから成立したんよね。」
大堀,長塚,福田「うんうん」
長塚「あれよかったよね。みんなどんどんおかず持ってきてね。」
山内「だからやたら豪勢な日とかあるもんな。楽しかったですね。夢のような何か月間でしたね。」
あ、え!?今日、一幕と二幕だけでいいの!?
大堀「どうですか、主役なの?」
福田「はい?いやまだ、三公演もね、土日も残ってますから。まあそれ終わってやっとっすね。」
山内「何を当たり前のこと…何を当たり前のことだけ言うて、しれーっとしてんの。」
福田「やっぱほんま、最初は無理かなーってほんま普通に、無理とは思ってないけど、大変」
山内「それを永ちゃんでゆうて」
福田「…」
山内「永ちゃんでそれをお願いします。」
福田「(永ちゃん風に)あのー、そういうそういうなんだろうなー、んーすぐそこの角にものすごい小さいものがあってね。そんなことはいったことないわけですよ。でもねーそういう面白いことをね、やろうというそういうなんだろうな」
山内「もうええわ。でも、疲れるでしょ?」
福田「一日三公演するのもねぇ、やったことがないわけですから」
山内「でもこれ考え方でさ。たとえば、新橋演舞場とか明治座とかでやってるのって、4時間とか、4時間ちょいくらいの一幕二幕三幕わけてやったりするわけだから。そう考えると、一部を一幕、二部を二幕、三部を三幕と考えたら、あ、え!?今日、一幕と二幕だけでいいの!?そういうふうになるかなと思ったけど、いざやったらならんかったな。だって今日すごい事実を聞いたじゃん?」
そういう風にしかできないと思うと、戯曲はどんどん死んでいく
長塚「そうそう、様式美のある劇団で上演されるときには、これ今日の公演がだいたい一時間四十五分です。だけどね、たぶん本編三時間くらいかけて、あの二部やってるんだと思うんですね。ようするに大きなセットでやってるときは。だから僕は一時間四十五分だけど、例えば新国劇とかだと三時間くらいで上演したりとかしてる。」
大堀「一部がでしょ?」
長塚「一部一部。二部とかもそう。それくらいたぶん」
山内「僕らが今たぶん一部が一時間四十五分になってるわけじゃないですか。」
長塚「それが三時間と三十分の休憩ぐらい。」
山内「どんだけゆっくりしゃべんのやろ。」
長塚「要するに袖から出てきて、はっと気が付いて何かを見て、家の中に入って行って、そのときにお辞儀したりして始まるみたいな、全部丁寧にやってくわけだし、全然違う発想で作られてる。でも、そういう風にしかできないと思うと、戯曲はどんどん死んでいくわけで。そうならないことが楽園のような空間だとできるから面白いんだよね。どんどんはしょっていって」
山内「なんでそんな狭いとこでやらはんねん、と思った方もいっぱいいらっしゃるかもわかりませんけど、ここやからしかできないことっていうのがやっぱりあって。そして演劇は半分はお客さんが作るものですよやっぱり。来て観てくれはった方は独特の経験をしてると思うんすよね。自分もそこにおるみたいな感じにだんだんなっていったりとか。これは僕らが他でやりたくてもできないことなんすよね。だから、どうする?次どうする?あの、新感線今やってる劇場でこれ三本やる?」
大堀「回転!?」
山内「回転しても全部おんなじなの。」
大堀「あのセットなの全部!?」
山内「その代わり連続してやれるからね。」
長塚「でもちょっとかっこいいよね。」
山内「めっちゃでかいとこで一回だけやるか。」
長塚「あーそうだね」
山内「めっちゃ狭いとこでめっちゃやるか。」
長塚「だから、前言ってたのは新国立劇場の中劇場?奥行きがすごいあるところ。あそこに今あるセットの三角の台が転々と並んでるっていう。だから考えてることは一緒なんだけど。でもあれぐらい大きくなったら、ちょっと発想は変わるよね。だけどそれでセット変わっちゃったらまた同じことになっちゃうから。そうじゃなくてやれるアイディアを持ってきたりしたら面白いけどね。あとは大阪ね。」
やっぱり大阪でやってほしい
山内「大阪にね、やっぱり持っていきたいね。大阪の方たち観ると、これやっぱり大阪でやってほしいっていう風に。だからね、やれたらいいね。」
大堀「うん」
山内「そういえばグッズとかをね。買っていただくことによってね。」
大堀「そうね。ずいぶんね。あの…豊かというかそういうのなんやろな。」
山内「僕らの負債が少なくなる。」
大堀「なるべく皆さんのお気持ちを。グッズというものにね。」
山内「チケット代の設定とか結構考えたもんね。」
大堀「びっくりしたのが一二三部これ見るのかってほんと思ってたんだよね。」
長塚「それは思ったね。」
大堀「だからチケットの売り方っていうのもすごく考えてたもんね。」
山内「一部二部三部とも見はる人ってそんなにおるんやろうかって。一部だけしか見んとこみたいな。人もおるやろうな。」
長塚「これ三部全部観た人、もしくは観る予定の人っていうのはどのくらい?(半分以上手が挙がる)」
4人「おおー」
大堀「完全に俺らの誤算やったな。」
長塚「そんなにいるとはねー。」
大堀「想像つかんかった。」
どうすんだよ!?これどうすんだよ!?
長塚「こうやって手作りでやってるから、最初にチケット売れたときの喜び方がね。」
山内「いちいち嬉しいね。」
長塚「当日券を並んでくれてるお客さんがいるときの嬉しさね。」
大堀「嬉しさったらないねー。」
長塚「ほんとに、裏でね、嬉しいな!嬉しいな!って」
山内「並んでるで!並んでるでー!っていうて」
大堀「初日が当日券あんまり並んでなくてさ。どうすんだよ!?これどうすんだよ!?って言ってね。」
長塚「あれ怖かったね。」
山内「当日券あったからね、ずっと。」
大堀「出したほうがいいでしょうっていうね。こういう企画だから。」
山内「こういうのは一個一個、差し入れ一個でもごっつ嬉しいもんな。」
長塚「やー、もう忘れられないよね。一個一個ね。今まで普通に食べちゃってたのにね。これ誰がくれたんだろうってね、なるんですよ。これ、美味しー美味しー!って」
大堀「そんなに有り難いの!?」
長塚「だってありがたいでしょ。」
福田「わかるわかる」
山内「ちゃんとお弁当出したりもでけへんようなカンパニーやからさ、おにぎりいっぱいとかあったら、ほんとにありがとうってなる。」
大堀「一部二部三部の間とかほんと1時間半くらいしかなかったりするから飯も食えなかったりする。ずっと立ちっぱなしだもん。」
長塚「文句ばっかり言わないで」
大堀「楽屋ないんですよ。ほんとにね、びっくりですよ。だからこの辺うろうろしてるんですよ。下の駐車場で着替えてるんだから。」
山内「だからここ(観劇三昧)も協力してくださって。トイレ使ってくださって結構ですよ、とか。」
長塚「すごいみんな協力してくれるんですよ。面白かったのがGWの日に4月の何日だっけ、名人戦があったじゃない、下北沢の名人戦って将棋イベントがたまたまやってたんですよ。名人とかも来たりして面白そうだって言ってみんな紋付き袴でぞろぞろと見てたの。面白い光景でしたね。」
山内「坂田三吉が歩いてるわってね。ほんとにね。いざ差したら弱いやろな」
負荷かけて無茶やってるから多分一生覚えてる
山内「今日出番の合間に紋付き袴着て劇場の前にいたら『あぁ、おつかれ!』って言われて誰や思たら柄本明さんで『あぁ、お疲れ様です』言うて『こないだ見せていただいて』『あーありがとうございます』出番あるやん、でも無下に出来ひんやん。柄本さんこの前観に来てくれた時にちょっと楽しかったみたいで、ちょっと話してくれようとしてくれんよ。『今日もやってんの?』『今日もやってます』『あのー、山内君いつぞやは息子がお世話になったみたいで』『あぁー、そうなんですよ…あのちょっといいですか(劇場に向かうジェスチャー)』」
大堀「そんなことになるんですよあそこで。(本番中だって)分かるでしょそんな恰好ででたら。」
山内「柄本さんは関係あらへんやん。」
大堀「上手から下手行くのも必ず外回らなあかんのですよ。」
長塚「本番中見てたら外クルクルしてますよ。」
大堀「語り部だからずっとぐるぐるぐるぐる…」
山内「覚えられへんからメモ見ながら…」
福田「そやから忘れ物するんですよね。今日も草履忘れて…駐車場までダッシュで。山ちゃんはけたあとダッシュで倉庫行って…」
山内「あらかじめ開場する前に全部の小道具を自分らで置いて… そんなスタッフもいてないですから雇えないですから。自分らで置いてやるわけですよ。」
福田「置き忘れがあんねんな。」
山内「そしたら全部ためてあるところに取りに行かなだめなんですよ。なんやこの芝居。」
長塚「雨が大変で。雨が降ると外通らなあかんからスタッフの人が傘持って立ってて。ちょっとだけ入れてもらってね」
大堀「もしほんとにチケットとれないとかなら外で観てるだけでも。クルクルしてるのをね。」
山内「だからものすごく負荷かけて無茶やってるから多分一生覚えてるやろね、この芝居のこと。忘れられへんと思うわ。俺柄本さんと会うたびに思い出すわ。」
長塚「下北沢って演劇の街って言われててさ。だけど本多劇場とかスズナリにしても中入っちゃえば出てこないじゃん。でも楽園は出て来ざるを得ないわけですよ。公演中も準備の時もなにするにしても外を通らなきゃいけないから。それっておもしろいよね。」
山内「でもえらいもんで、ずっと外におるから雨降るなぁ、とかわかるんよ。風つめた…とか」
大堀「外にいること多いからね。」
山内「あの店わりと流行ってんねんな、とか。自然のことまでわかるから。こんなことなかなかできないからよかったですよ。」
一緒に三吉の人生歩んでくれてんやな
長塚「参加してくれてる人みんな楽しんでくれてるし。」
大堀「お客さんもこんなたくさん入ってくれてるし。」
山内「だってグッズ作るのかってパンフレット、制作の方とかやってはる人に聞くと全体のキャパの3割とか、でもこの公演、3本観に来る人は1冊しか買わへんわけでしょ。ほなどないしたらええねん。そんなとこからずっとやってたから… パンフとかさ、モニターでさ、団長とかが売ってくれてるの見えるやん。いちいち売れるの嬉しいし。こんなこと他の公演で思わへんしね、あんまり。」
大堀「稽古だって忙しいからね。俺はパンフとかグッズとか無理だろうと思ってたの、作るの。でもいや、作んなきゃだめだってね。すごいと思ったよ。すごいと思ったよ!」
福田「すごいと思ったよ」
山内「お手伝いさんとか打ち上げ代だって会費制になるかもしれへんし…」
福田「ガチャガチャの機械もあれ買っちゃってな。」
山内「借りるのも結構したから買い取ろうってな。家に置いとこって…」
大堀「缶バッジも休みの日4人で集まって作ってな(缶バッジを作るジェスチャー)。それくらいの手作りなんでガチャガチャぜひやってください。外置いてあるからね。」
長塚「(福田さんを見て)全然しゃべってないけど…」
山内「たぶんね、喉守ってるんやと思う。」
福田「…。まぁほんま大変でしたっていうね。でもお客さんも大変ですよね3本続けて見たりしたら。それこそ一緒にね… 一緒に…やっぱ舞台から感じるんですよ。一緒に三吉の人生歩んでくれてんやな、って思うとねそれでまた一つ涙が…」
山内「誰やねん!」
福田「それくらい三吉になりきってるんですよ… ちょっと失敗しましたね。」
坂田三吉と全く一緒
長塚「もし質問あれば」
お客さん「今回こういう企画を企画で終わらず実現してくださってありがとうございます。一部二部三部と順番で見せていただいて、転球さん演じる三吉が本当に演じているというか二部くらいから三吉に見えてきたんですけど、その転球さんが三吉と似ているところはありますか」
山内「福田転球と坂田三吉の共通点。人生の間が悪いとこ。ほんとにねぇ。こんなおもろい人おらん思てるのになかなか売れないですね、大阪の時から。これから行くでって時に転球劇場も解散するしね。」
福田「うーん…」
山内「転球さんはさ、三吉と自分は遠いところの人ちゃうやん。これわかるわぁみたいなことあんの?関西名人に押し上げられるとことか一緒やん。いっしょやんな、咲くやこの花って大阪の賞もろて割と周りに喰いもんにされてっていうか。」
福田「すぐ番組も終わって仲間も離れて行って…よし東京行ったろって乗り込んで。東京でてきて大きいお芝居には出させていただくようになったんですけど、幕の横でちょっと顔出すような役をたくさんいただいて。なにくそ思ってやってきて、それでいま二部くらいじゃないですか。あれ違うなぁ。」
山内「役者って基本的には職人というか職人になっていくところがあるんですけど転球さんの場合はアーティストなんですよね。だから自分の気が乗った時は爆発的に面白いんですよね。ただちょっとでも気が乗らんと全然面白くないんよね。それが坂田三吉と全く一緒やと思うんよね。動物的に打つって言うか理屈じゃなく。」
長塚「でもそれじゃだめだよね」
福田「(謎の動き)」
長塚「だからその山内君の言う良さをいかしつつ。」
山内「でもほんと今回変わったと思う。毎回同じクオリティでやれる人になったと思う。」
福田「ありがとうありがとう」
山内「当日券もあるんでぜひ」
大堀「ここでグッズも預かってもらってるんで僕らのために買ってください。」
4人「今日はありがとうございました。」
2017年5月11日(木)16:30-17:00 観劇三昧下北沢店にて