武田です。今回は僕の好きな言葉から入ります。興味なくても聞いてください。いきますよ。
「再演をするなら新作を書きたい」
「再演をするにしても手を加えるからもはや別作品だし、かかる労力もそう変わらない」と続く。
もっともだと思う。作家もキャストも成長するし、もっと言えばスタッフだって違うのだから完全な再演なんてこの世に存在しないのでしょうし、何もかも完璧に当時を再現して喜ぶのはよほどアレなファンくらいでしょう。
今回紹介する作品は2013年に上演された作品です。つまりは再演…いいえ。改訂版です。
劇団犯罪友の会
【ラジオのように(改訂版)】
作・演出 武田一度
【改訂版】
前の版の内容に改訂をほどこして刊行した新版.誤植の訂正程度の変更にとどまらず,印刷原版を組み直すほどの実質的な内容変更を伴うもの
再演、とありきたりな表現を使わず改訂版と銘打ったのはきっとかなりの自信があってのことでしょう。生まれ変わる、ではない。新たに生まれるのだ。期待せざるを得ませんね。
【ストーリー】
口上
「ラジオのように」という題名はブリジット=フォンテーヌという70年代のシャンソン歌手の歌の題名で、素敵な曲です。
しかし、歌とこの芝居はあまり関係ありません。
下町の70年代の物語です。
5年前に初演した頃は、若手俳優とベテランチームとの公演でした。
今回は再演というより、改訂版です。
ベテランの川本三吉、中田彩葉に加え、
今年3月に関西現代演劇俳優勝の奨励賞を受賞し、
只今絶好調の上木椛が漫画家志望の
かなりワルの下町娘を演じます。
今年の犯友の役者は絶好調役者ばかりです!!
乞うご期待を!!(合掌)
【キャスト】
川本三吉
中田彩葉
上木椛
中西謙吾
和久本あさ美
下村銀拓
【日時】
5月19日(金) 19:00
5月20日(土) 14:00/19:00
5月21日 (日) 14:00/19:00
(開場は上映開始の30分前)
【料金】
前売 2,500円
当日 3,000円
【会場】
ウイングフィールド
大阪市中央区東心斎橋2-1-27周防町ウイングス6階
・地下鉄堺筋線 「長堀橋」駅 7番出口南へ3分
・地下鉄御堂筋線「心斎橋」駅 6番出口東南へ10分
【予約】
・TEL 090-9057-1938
・LINE @sdi4180l(劇団公式アカウントID)
(ご予約、キャンセル等は上記お問合せ先に1公演日時、2予約枚数、3お名前、4電話番号をお知らせください)
・peatix
(19日、19時)
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犯罪友の会、と聞いて何を連想するでしょうか。
ギラリと妖しく光るナイフだろうか。それとも白い粉でしょうか。(たぶんお砂糖だよな。うん)
ところで、公式HPの劇団名の由来にはこんなことが書いてある。
私達劇団の根本的テーマとして、人の心に棲む犯罪性を栄誉ある名称として「犯罪友の会」と名付ける。
誤解や中傷は覚悟の上である。
意味性は、劇団の方向性であり、誇りを持って名付けたのです。
刃物やお砂糖を想像した人は深く反省してください。僕も反省します。そして反省しつつもこの作品を観てください。
戦後70年、日本の戦後の価値観も大きく変わりました。
時代の節目に、戦後に大きく残された傷跡は何だったのか?
庶民の暮らしの中で70年を見つめたいという思いで作りました。
昭和40年代半ばのとある町のありふれた食堂のオヤジと娘の
軽やかな喜びと悲しみの物語です。
思春期の娘と父のささやかな暮らしの中に
理不尽な時代に翻弄された人生の軌跡と輝くような思春期のロマンス。
昭和のロマンスは、ややこしくもじれったい。
しかし、これぞ恋路の奥深さ、男女の仲の不可解さ。
犯罪友の会にはこういうあたたかい作風が多いような気がする。是非一度見てもらいたいです。
現在観劇三昧で配信されているのは2作品。上の「横丁のダーリン」と「いろゆらぎ」。これらはDVDも販売中です。
残りの作品配信を待ちきれない人は台本を読めばいいじゃない。
歴史と人によりそう作劇。是非お試しください。
【劇団犯罪友の会】
1976年 劇団を結成する。劇団名を「犯罪友の会」と名付ける。
ドラマチックと言われるものとは何だろうか?
近松の世話物の物語なんぞは、当時では重罪人を描いている。
シェークスピアの「ロミオとジュリエット」にしてもあの時代の英国の道徳では、良家の姫と子息の自由恋愛は不純異性交友そのものでしかない。
しかし、それらの人間の絵模様はドラマチックであり、悲劇的・喜劇的でもある。
犯罪とは、人の心の底に棲むものである。
人間の深く、暗い哀しみの深度を計るものである。
どうする事も出来ない心の中の陰陽は、人を裏切り、傷つけ、全ての世界を破壊していく。
社会的犯罪を指すだけでなく、日常の中の普通の暮らしに、血の色より暗く悲しい心のうつろいがあるのである。
演劇は、これらの人間の状況・環境における心のうつろいを描くものといえる。
マルキ・ド・サドの「悪徳の栄え」の中で描かれた、人々の心の底の犯罪性や、「反抗の形而上学」でカミュが語る不条理ゆえの犯罪性は、人の心の不確かさを解明しているものかもしれない。
しかし、我々はアジア的風土の中で考えられた、心の隙間にも目を向けなければならない。
京都三千院の一千一体の仏像の顔は全て異なっている。
そのひとつひとつの仏様の顔こそ、たった一人の心の中の表情だというのである。
今、我々はTVニュースを前にビールを飲んでいる。
画面には、何千何万という人々の死体が映っている。
演劇の中で、ビールを飲む素晴らしい偉大な人間とビールを飲むくだらない程卑劣な人間…。
この総体を描く事を、私達劇団の根本的テーマとして、人の心に棲む犯罪性を栄誉ある名称として「犯罪友の会」と名付ける。
誤解や中傷は覚悟の上である。
意味性は、劇団の方向性であり、誇りを持って名付けたのです。
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