日本橋店の武田です。

劇団として活動する中で一番恐ろしいのは解散だと僕は思います。

財政難、演劇性の違い、背後から聞こえてくるモラトリアム終了の声。書いているだけで胃液がこみ上げてくる。そもそも字が怖い。散るて。怖い怖い。

今回紹介するユニットは公演終了ごとに解散するそうです。

え?メンバーは?
解散するのにユニット?

公式サイトにはこんな言葉が書かれています。
公演の都度参加者を募りその度に階を更新します。
今の座組が解散しても永遠に別れるわけではない。更新だ。先に進むのだ。

そもそも出会う前から別れの心配をする奴はいない。別れがつらいなら初めから誰とも会わないことだ。

♪さよなら~が迎えにフフフフ~最初から~フフフフフフーフ♪怒られる前に歌うのはやめましょう。

そんな特徴的な活動をするの紹介です。今回は匣。匣の階です。

 

【パノラマビールの夜】

【ストーリー】

 

舞台は山頂の展望台にある寂れたビヤガーデン。 その日の真夜中過ぎに、ある星が壊れてなくなってしまうのだという。
それを見に集まってきた天文学研究会のメンバーとたまたま通りかかった旅人、ビヤガーデンの女店主が寒空 にビールを飲みながら語り合う。
各々の記憶の中にある各々の「壊れた町」が交差する。
それは混じり合うことなくそのまま各々の方向へ消えていく。
「何ひとつ共有できないもの同士も、一瞬だけ、一点で交差することはできるのではないか。」
そんなことを思うかもしれない冬の一夜の物語。

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「遠く離れた二つの町がありました。
互いの町を行き来する手段は何もありませんでした。
いつの頃からだったでしょうか。
互いの町がちゃんと遠くにあることを忘れないでいるために、
二つの町は夜になると小さく灯かりを点すようになりました。
夜になるとどちらの町も新しい灯かりを点し、遠くの灯かりを眺めるのでした。

ふたつの町はとても大きく、明るくなりました。
町には闇がなくなりました。
いつしか二つの町は遠くの町のことを思い出さなくなりました。
自分の町を十分に自分の灯かりで照らせるようになったのです。

あるとき…… 困ったことが、起きました。
一つの町が壊れてしまったのです。
町は闇の中に沈み込んでしまいました。
壊れた町は狼狽えました。
誰かが、ふと遠くを見ました。遠くに灯かりが見えました。
いったい何の灯かりなのか。誰も、覚えていませんでした。
分からなくても灯かりが見えました。覚えていなくても灯かりが見えました。
それはとても懐かしくて、親しい灯かりのような気がしました。

遠くの町は遠くにあるものですから、何も知りませんでした。
壊れていない町はいつものように暮らしていました。
毎日夜になると新しい灯かりを点して自分の町を包んでいました。
もう、寂しいとは思いませんでした。
どちらの町も、もう、寂しいとは思いませんでした。

 

【キャスト】

大西智子(あなざーわーくす)、七井悠(劇団飛び道具)、チェサン、中村彩乃(安住の地/劇団飛び道具)、練間沙(劇団冷凍うさぎ)、藤谷以優

 

【スタッフ】

作・演出:久野那美

舞台監督:中西隆雄
照明:葛西健一
音響:合田加代(結音)
演出助手:プリン松・吉村篤生(劇の虫)
舞台監督助手:小林佳太郎
美術:竹腰かなこ
制作:若旦那家康

写真:紅たえこ
宣伝美術:小泉しゅん(Awesome Balance)

主催:階
共催:神戸アートビレッジセンター(指定管理者:公益財団法人 神戸市民文化振興財団)
協力:大阪ガス株式会社
企画・制作:匣の階

 

【詳細】

・会場
神戸アートビレッジセンター 1階 コミュニティースペース 1room
〒652-0811 兵庫県神戸市兵庫区新開地5-3-14

【アクセス】
神戸高速「新開地駅」8番出口より徒歩約5分
JR「神戸駅」ビエラ神戸口より徒歩約10分
神戸市営地下鉄「湊川公園駅」東改札口より徒歩約15分

 

・料金
一般(前売・予約・当日):2,800円
高校・大学・専門学校生(前売・予約・当日):2,000円
立ち観(前売・予約・当日):1,200円
★ボトルチケット:1,000(1,000/1枚)
※当日券の発行は空席ありの時のみ。小さな会場ですので、できるだけ事前のご予約をお願いたします。

 

★ボトルチケットとは

手紙をびんに入れて海に流す「ボトルメール(Message in a bottle)」。
いつ、どこで、だれが受け取るかわからない……
見知らぬ誰かへメッセージを送る、という行為にちなんで名づけられたシステムが、この【ボトルチケット】です。

ボトルチケットは、ご自身が観劇するためのチケットではなく、 見知らぬ誰かの観劇をこっそり応援するためのチケットです。

詳しくはこちらを。

 

・日時
2018年
1月25日(木)17:00 / 20:00
1月26日(金)17:00 / 20:00
1月27日(土)17:00 / 20:00
1月28日(日)14:00 / 17:00

 

【予約】

匣の階予約フォーム

チケットぴあ

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第5回OMS戯曲賞佳作受賞作が20年ぶりの再演。OMSと言えば、この本はご存知でしょうか。

 

久野那美さんがコメントを寄贈しているOMS戯曲賞20周年記念誌です。
他にも歴代受賞者のコメントに座談会まで収録した読み応えのある一冊。
サンプル版もご用意しております。これが何を意味するかと言いますと、

「立ち読み上等!」「ウェルカム座り読み!」

観劇三昧で販売中の戯曲は基本的にそのスタイルです。

店舗が遠いあなたには通販も。
通販の場合サンプルはありませんので、届くまでのワクワクをお楽しみください。

パノラマビールの夜。タイトルもフライヤーも美しいですね。
この物語が気になったあなた、朗報です。
観劇三昧では、初演版(!!)の台本を販売中。

1997年11月作品です。すごい、本当に20年前だ。

そのほかの「階」についての作品はこちらで。

 

また、観劇三昧では「階」の2015年「Recycle缶の階」の舞台映像を配信しています。

「パノラマビールの夜」と作・演出/音響/照明、そして出演者2名(七井悠・中村彩乃)が共通していますので、
「階」の持つ雰囲気を知るには良いのではないでしょうか。

 

『話すのなら、今ここにないもののことを話したかった。
今ここにないものの話ばかりしようと思った。』

全編再生はこちらから。

RECYCLE缶の階は、2014年12月、公演終了と同時に解散した前身「缶の階」の上演作品(「劇場を舞台にした二つの二人芝居」)を再演するために太田宏、久野那美、三坂恵美を中心に再結成された演劇ユニットです。
2016年1月、公演終了と同時に解散しました。(特設HPより)

 

 

匣の階「パノラマビールの夜」。この公演が終了すると同時に匣の階は解散となります。
舞台は一期一会。人との出会いも一期一会。
この出会いを逃せば次は無い…かもしれませんよ。

【階(匣の階)】

劇作家久野那美の作品上演ユニットです。公演の都度参加者を募りその度に階を更新します。そして毎回公演終了後に解散します。
「今自分に出来ることを全力でやる」のではなく、「できないかもしれなくてもやりたいならなんとかする」 をモットーにしています。

公式サイト(階)

公式サイト(匣)

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