こんにちは。日本橋店の武田です。

 

したためるという言葉に聞き覚えがあるでしょうか。

書くとほぼ同じ意味合いですが、少し改まった表現で、心のこもった文章を書くときに使う言葉です。

おもえば、文章を書いたことはあっても、したためた経験はないように思う。

今はSNSを使って誰でも言葉を吐き捨てることができる時代です。あらゆる返信をスタンプで済ませてしまえる時代です。誰かのために心を込めては今となっては綺麗ごとにしか聞こえません。

それでもいつだって人の心を震わせるのは心のこもったものです。作者は伝えるべき何かを思いながら言葉をしたため、役者はその思いをしっかりと舞台上から伝える。面白い劇団は皆そうしています。要は言葉を大事にする劇団は面白い。という事。今回紹介するのはそんな劇団です。

演劇パスでチケットを購入することもできます。したための公演の紹介です。

 

したため#5

『ディクテ』

原作|テレサ・ハッキョン・チャ
「ディクテ 韓国系アメリカ人女性アーティストによる自伝的エクリチュール」(青土社)
翻訳|池内靖子
演出|和田ながら

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【ストーリー】

彼女は、発声の重圧のびっしり混みあった動きのなかで、それらが通り抜けようとする只中、自らを名も知れぬものとしてその場にとらわれたままにしておく。

休止はすでにすみやかに始まっていて、静かに休止したままだ。彼女は休止の内部で待つ。彼女の内部で。さあ、今だ。まさにこの瞬間。今こそ。彼女はすばやく空気を吸い込む、いくつもの裂け目のなか、生起する距離に備えて。休止が終る。声はもう一つ別の層を包み込む。待っていたために、今やいっそう濃密になって。言おうとすることの苦痛から、言わないことの苦痛へ、待機。

さあ。

(「ディクテ 韓国系アメリカ人女性アーティストによる自伝的エクリチュール」(青土社)より)

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Dictéeとは、言語の学習法のひとつで、声を聞き取り文字に記すこと。そして、『ディクテ』を手にとったわたしは、いてもたってもいられなくて息も継げず、彼女の声を聴くこと、身体にうつすことに、のぞもうとしている。

言語と言語のあいだでざわめく身体の疾走を提示した前作『文字移植』(原作:多和田葉子)の次にしたためが挑むのは、韓国に生まれ、アメリカに逃れ、複数の言語を生きたテレサ・ハッキョン・チャの残した実験的テクスト、『ディクテ』(1982)。言語、歴史、性ーーさまざまなモチーフを含みこみ、そこに触れるすべてのものの声を刺激してやまないテクストから、いま、したためが導く演劇とは。

 

【キャスト】

飯坂美鶴妃

岸本昌也

七井悠

山口惠子(BRDG)

 

 

【スタッフ】

美術|林葵衣
照明|吉田一弥〈GEKKEN staffroom〉
音響|甲田徹
衣装|清川敦子(atm)
舞台監督|北方こだち〈GEKKEN staffroom〉
制作|渡邉裕史

 

【日時】

日程:2017年6月
22日(木)19:00
23日(金)14:00/ 19:00
24日(土)14:00☆/19:00
25日(日)14:00★
※受付は開演の30分前より開始いたします。

 

<ポストパフォーマンストーク>
24日14:00(☆)
合田団地(劇作家・演出家/努力クラブ)

25日14:00(★)
池内靖子(『ディクテ』翻訳者)

 

【会場】

アトリエ劇研
〒606-0856 京都市左京区下鴨塚本町1

TEL 075-791-1966 (9:00~17:00)
http://gekken.net/atelier/

 

【料金】

一 般

前売 2,500円/当日 2,800円

トリオ

6,000円

学 生

前売 1,000円/当日 1,300円

高校生以下

無料
*トリオは、同一回に3名でご来場の場合、利用可能です。

 

【予約】

劇団サイト

・メール

info.shitatame@gmail.com まで、希望公演日時/お名前/券種/人数/ご連絡先を明記の上メールをお送りください。こちらからの返信を以てご予約完了となります。

 

・窓口

●京都芸術センター(10:00-20:00) 京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
●喫茶フィガロ(10:00~18:00、月曜定休) 京都市左京区田中上大久保町13-2 ネオコーポ洛北1階

 

・演劇パス

 

 

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この作品では演劇パスが利用できます。

ご存知でしょうか演劇パス。スマートフォンのアプリ内で公演チケットがクレジットカードで購入でき、買った瞬間にアプリの中にチケットが発券される電子チケットサービス。まぁ簡単に言えば家から一歩も出ずにチケットが買えるということです。

最大の特徴は手数料がかからないこと。発券料とか振込手数料だとか、一切の面倒な支払いがいりません。

入場の際も受付の人にスマホでチケットを見せるだけでOK!スムーズに入場できます。

使えばわかるこの便利さ。みなさんもこの機会にいかがですか?

 

 

正直なところ、ストーリーに書かれた「ディクテ」の抜粋文に書かれている文章は、僕には少し難しい。
文字としては読めるのに理解が追い付かない。なんとも奇妙な感覚だった。ここに来て自分の学の無さが恨めしい。

ただ、この一文だけが引っかかった。「言おうとすることの苦痛から、言わないことの苦痛へ」この文章にはなぜか心がざわめいた。なぜかはわからない。わからないが知っているように思えた。しかし言葉にできないことを知っているといえるのだろうか?

これはおそらく感覚の部分。これまで言葉にしなかった、もしくは意識してこなかった部分だと思う。僕と同じ感想の人がこの中にもきっといると思います。そんな人は劇場に行きましょう。きっと答えが見つかる…とまでは言いませんが、きっと新たな価値観に気づくきっかけになると思います。

 

【したため】

京都を拠点に活動する演出家・和田ながらのユニット。日常的な視力では見逃し続けてしまう厖大な細部を言葉と身体で接写する、あるいはとらえそこないつまづくさまを連ねるように作品を制作する。和田は京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科卒業、同大学大学院修士課程修了。2011年2月、#1『巣』より活動を開始。近作に、日々の記憶を思い返すこと/損なうことをめぐる#3『わたしのある日』(2015)、作家・多和田葉子の初期作を舞台化した#4『文字移植』(2016)がある。美術家や写真家など異なる領域のアーティストとも共同作業を行う。2015年よりアトリエ劇研創造サポートカンパニー。2015年、和田が創作コンペティション「一つの戯曲からの創作をとおして語ろう」vol.5最優秀作品賞受賞。

 

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