6月になり、最近は雨の日も多くなってきました☔️傘が手放せない季節ですね☂️
雨の日も下北沢の演劇グッズ専門店「観劇三昧ラボ」は元気に営業しております!
観劇前後の雨宿りがてら、お気軽にお越しください☺️

5/31~6/2で観劇三昧で配信された作品は2団体8作品です。
お楽しみください。

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5月31日 11:00~配信開始

劇団肋骨蜜柑同好会

田瓶奇譚集 チーム怪

総合演出:フジタタイセイ
[腸詰と極楽]脚本: ホトンドケイ素(劇団肋骨蜜柑同好会)/演出: フジタタイセイ(劇団肋骨蜜柑同好会)
[隣は猫をする人ぞ]脚本・演出: 目崎剛(たすいち)
[くるくるさん]脚本・演出: 屋代秀樹(日本のラジオ)

【あらすじ】

「私ね、観ちゃったんですよ」

あら、なにかお探しですか?なにが知りたいの?
田瓶市ははじめて?それとも、何度かおいでになったことが?おもしろい町でしょう。
ここにはね、いろんな本がありますよ。そりゃあなんでもってわけにはいかないけれど、まあそれなりに。
そう、オハナシが読みたいの。それならたくさんありますよ。なんなら私のとっておき、お教えしましょうか。

田瓶市立図書館の貸し出しカウンターにはいつも、噂好きの司書が座っている。不思議な話がききたいときは、彼女に話しかけてみるといい。きっと、嬉々として話してくれるはずだ。山間の町田瓶市でまことしやかに囁かれる、奇妙奇天烈な「オハナシ」たちを。

劇団肋骨蜜柑同好会が特別企画として贈る、妄想都市の「奇譚集(ホラーアンソロジー)」。5つの団体が、田瓶市を舞台に約30分の短編を書き下ろします。一筋縄ではいかない劇作家達による、千夜一夜の物語をどうぞお楽しみください。

劇団肋骨蜜柑同好会「腸詰と極楽」

日当たり良好、四畳半、風呂トイレ共同、家具付き、ルームメイト付き
最寄り駅まで20分、先生の家まで徒歩5分
家賃5万、アメニティ10万(少し高い気もするけれど、自己投資は大切だ)

未来の成こうのための、ささやかな根城。
最高の物件とは言えないけれど、十分な条件。
ここから明日を作っていこう。
明日の自分を作るのは今日の自分。
今日の自分が良くないのは、昨日の自分が良くなかったせい。
過去は変えられないのだから未来を変えよう。

本当に?
逃げ出そうと走る間に、輝く未来はありふれた今に、まともな今は腐りはてた過去に成り下がる。
それでもどこかにある成こうを掴むためには走り続けるしかないのだ。

結局のところ、罰がないなら逃げ出す楽しみもないのだから。

たすいち「隣は猫をする人ぞ」

隣人の様子がおかしい。
引っ越してきて間もないが
何やら夜毎、物音を立てている。
恐らく
こちらに気付かれないように。

一体、何をしているのか。
知りたい。
知りたい。
知りたい。
しかし
知られてはならない。

命が九つあったって、死に至るのだから。

日本のラジオ「くるくるさん」

くるくるさんは事故で娘を失った母親で、事故の際に千切れて見つからなかった娘の左手の小指をずっと探しています。両手を地面についてよつんばいになりながら、顔を地面すれすれに近づけて「レイコノユビハドコカシラ」と言いながら夜の道をさまよっています。くるくるさんに出会っても、くるくるさんの進路を塞がないよう、静かに音を立てないようじっとやり過ごせば、あなたに害はありません。しかし、けして声をかけたり、くるくるさんの進路に立ってはいけません。くるくるさんがもしあなたに気づいて顔をあげてあなたの方を見たとしても、けして目を合わせてはいけません。くるくるさんは泣きすぎてブヨブヨに膨らんで飛び出した大きな目をしています。この話を聞いた人は3日以内に2分の1の確率で、夢にくるくるさんの娘の霊が出てきます。娘の霊と一緒に夢の中で小指を見つけられなかった場合は、あなたの指をくるくるさんに奪われてしまうでしょう。

【キャスト】

[腸詰と極楽]藤本悠希(劇団肋骨蜜柑同好会)/澤原剛生/村山新(しあわせ学級崩壊)
[隣は猫をする人ぞ]大森さつき/小太刀賢/中田暁良 ※Wキャスト(21~24日)/中村桃子/星澤美緒/細田こはる/目崎剛 ※Wキャスト(16~19日)(以上、たすいち)/波多野伶奈
[くるくるさん]安東信助(日本のラジオ)/館山サリ/永田佑衣/星秀美/沈ゆうこ(日本のラジオ)/屋代秀樹(日本のラジオ)

田瓶奇譚集 チーム奇

総合演出:フジタタイセイ
[ゴーシュ]脚本・演出: 窪寺奈々瀬(AURYN)
[そして誰もいなくなるまで待って]脚本・演出: 中嶋康太(Mrs.fictions)
[もっけの幸い]脚本・演出: フジタタイセイ(劇団肋骨蜜柑同好会)

【あらすじ】

AURYN「ゴーシュ」

男は眠れない日々が続いていました。
夜通し鳴り響く音楽。
その不穏で切なくノスタルジックな旋律は
いったいどこから聞こえてくるのか、分かりません。
ただ癒すように誘うように、今日も一晩中響きます。

ある夜、呼び鈴が来客を告げ
男は億劫そうに扉を開けました。
二十日過ぎの月のひかりが部屋を照らします。

「わたしを、なおして」

そのひとは言いました。
男は戸惑って答えます。私は医者ではありません。
そのひとは首を振りました。

「いいえ、あなたは、わたしをなおしてくださいます」

Mrs.fictions「そして誰もいなくなるまで待って」

だから、この街がいけないと思います。水と、空気の、この街が。
川がよくないです。花もよくないです。それに、天井が低くて、砂が苦くて、灯りが隅まで届きません。だけど、逃げ出すはないですよね。だって、逃げ出す人がいる街はよくない街でしょう。いつも、人の目が、耳が、ありますから。人の?はい。なので消えます。そして、誰もいなくなるまで待って、それから、終わります。わかります。大丈夫です。最後にはちゃんと、全部みんな、いなくなりますので。砂みたいに散りますので。あとは、吸い込んだら次は、もう順番ですので。

劇団肋骨蜜柑同好会「もっけの幸い」

たしかに、それは思いがけない幸運であった。
どうしようもなく膿んだ心の傷が、私たちを引き合わせたのだろうか。
恨み言ならいくらでも言えるけれど、言ったところで失くしたものは戻らないし、腹は減る。
田植えの季節は雨ばかり。
土は流れて芽も出ない。
石に躓きスッテンコロリ。
お陰で顔は泥だらけ。
ふくろうは啼き、蛙は嗤う。
どうしてこんなについてない?
そうして君はここに来た。
どこからともなくやってきた。
あやふやで、たしかで、ふわふわで、びしょぬれで、かなしくて、いとおしい。
どこにでもあるような、どこにもないような。
訳もわからぬ曖昧なそれはいつも、ただそこにいて笑ってくれる。
理不尽なことには一緒に怒ってくれる。
何てかわいらしい。何てかわいそう。
取るに足らない私たちに訪れた、
ほんの些細な“もっけの幸い”

【キャスト】

[ゴーシュ]あおのゆきか/アンディ本山/藤田雄気/三森みち
[そして誰もいなくなるまで待って]岡野康弘(Mrs.fictions)/小見美幸(青年座映画放送)/高橋義和(FUKAIPRODUCE 羽衣)/髙畑遊(ナカゴー)/辻響平(かわいいコンビニ店員飯田さん)
[もっけの幸い]小島望(劇団肋骨蜜柑同好会)/室田渓人(劇団肋骨蜜柑同好会)/赤星雨(八角家/やさしい味わい)/兒林美沙紀(劇団砦)/佑木つぐみ(火遊び)/フジタタイセイ(劇団肋骨蜜柑同好会)

劇団キンダースペース

報われし者のために

原作:サマセット・モーム/翻訳・翻案・演出:原田一樹

【あらすじ】

英国ケント州の片田舎、弁護士のアーズレイの邸が舞台。母親、戦地で失明した長男、婚約者が戦死した長女、26になる三女が暮らしている。次女は農家に嫁している。夏の間、近くの屋敷を借りる資産家の老人が三女に興味を持ち言い寄る内、本気で逃げようとそそのかす。40になる長女イーヴァはテニスをしに来る元海軍将校のコリーに思いを寄せる。彼の自動車工場は経営不振に陥りアーズレイに破産申請を勧められるが承服できない。イーヴァの資金援助を断り追い詰められ自殺。イーヴァは精神に異常をきたす。次女は上辺の幸せを装うが疲弊は限度に達している。夫は野卑な本性を現し酒に溺れる。三女は目の前で長女の発狂を見、資産家の申し出に乗ろうと決める。病で余命が無いと知った母親はそれを受け入れる。父親だけが英国と我が家の安泰を信じて疑わない。

【キャスト】

瀬田ひろ美/小林もと果/古木杏子/森下高志/榊原奈緒子/林修司/関戸滉生/中根瑠理/松井結起子/狩野謙(希楽星)/加藤佳男(劇団俳優座)/川野誠一(劇団大樹)

パレードを待ちながら

作:ジョン・マレル/演出・美術:原田一樹

【あらすじ】

戦争は女の顔をしていない。
では男の? 兵士の? 独裁者の? 正義の?
19世紀には、西欧諸国間の戦争、世界各国の内乱に傭兵として出かけ、20世紀に独立。
21世紀には世界に例のないジェンダーフリー、ダイバーシティの実現国家となった先進国カナダの、
これは残された女たちの物語。

第二次世界大戦下のカナダ・カルガリー。
名誉、栄光、腹の足しにもならない世迷言のために破壊と殺戮を繰り返す男たち。
銃後を守る女たちは不安を抱えながら「非常時」を耐え、男たちを待ち続ける。
とめどないお喋りと歌、涙ぐましい奉仕活動、馬鹿馬鹿しい非常訓練。
女性の目線から戦争の狂気と愚かさを訴える。

【キャスト】

瀬田ひろ美/古木杏子/榊原奈緒子/松井結起子/小林もと果/岡田千咲

ママ先生とその夫

作:岸田國士/演出:深町麻子

【あらすじ】

自由な均整であり、聡明な型破りであり、節度あるファンテジィであり、要するに、一つのもっとも洗練された反逆的精神である。『ハイカラ』が模倣と流行を敵とする所以はここにある。(岸田國士/『ハイカラ』ということ)
本質を論じず『ハイカラ』という理由で自身の作品を揶揄した沢山の評論に対して岸田國士が反論したエッセイの一部である。

翻って、この「ママ先生とその夫」は年下の夫と共に、新しくて自由な教育を実践する男女共学の寄宿学校、聖風学園を運営する、奥居町子を主人公にした物語である。
彼女を見る世間の目、そしてスキャンダルに翻弄される滑稽さ…

まさに『ハイカラ』を行く女性に岸田國士が背負わせる人生とは…

【キャスト】

小林もと果/古木杏子/森下高志/林修司/杉山賢/山崎稚葉/榊原奈緒子/宮西徹昌/原田祈吹/関戸滉生

岸田國士の夢と憂鬱 その一 ジレンマの夜

作:岸田國士/演出・美術:原田一樹

【あらすじ】

「或ること」をいふために芝居を書くのではない。芝居を書くために「何か知ら」いふのだ。
(「新進作家の立場から」都新聞1924)
処女作「古い玩具」を描いた直後の岸田國士の言葉。これ故に岸田國士は芸術派と呼ばれる。
なるほど「古い玩具」、代表作「チロルの秋」「紙風船」で、劇的な事は何も起きない。
では「命を弄ぶ男二人」は? 「動員挿話」は? 「風俗時評」は?

『切歯扼腕』と言う言葉がある。歯ぎしりして自分の腕を握りしめること。
軍人家庭に生まれた仏文青年。ヨーロッパの日本人。西洋演劇の輸入。翻訳劇しかやらないと宣言する築地小劇場。大政翼賛会文化部長。日本近代化。

岸田國士は、『切歯扼腕』の人。日本に戻って、いやベルエポックのパリの異邦人であった頃から、歯がみして腕に爪を立てていた。
その彼の「或ること」をいうために書くのではない、は、ほとんど「叫び」のはずだ。
しかし一方そんな「叫び」に書くべき価値はない、と宣言しての作家活動。これは喜劇に結実する。ついには「知らん!」と叫ぶ。

と、いうわけで、キンダースペース初めての岸田國士は、
「麺麭屋文六の思案」「留守」「遂に『しらん』文六」の三本立て。ご期待ください。

【キャスト】

林修司/宮西徹昌/平野雄一郎/小林もと果/斉藤美奈子/関戸滉生/岡田千咲/杉山賢/西本亜美

夜明けに消えた

作:矢代静一/演出・美術:原田一樹

【あらすじ】

語り手の「私」は失踪したノッポという友人の足跡をたどる。ノッポは幼い頃の「優等生」から変わっていた。ある日「私」のもとに原稿の束が送られてくる。「戯曲」だった。舞台はキリストの刑死後のゴルゴダの丘付近。ノッポは盗賊の一味。金持ちの娘「ぐず」を誘拐しようとするが、現われたぐずはキリストへの帰依を口にし「運命」に従おうとする。興味を持ったノッポは一味を抜け、娘を自分のものに。が、自堕落な生き方は変えない。娘の元には他の信者たちも集まってくる。ある日、かつての仲間の密告により信者は捕えられ、ノッポの声も届かず、ぐずは火炙りに。だが炎に包まれる瞬間、ぐずは信仰を捨てる。ノッポに変化が訪れる。気がふれ行方知れずになったぐずを探し回る。ここに、「うまく立ち回る」ことを身上する[けち]、観念だけの社会思想にかぶれる[弱虫]、[ぐず]への愛憎から信仰の弾圧に生きる成功者[熊]。自由人である娼婦の[ひばり]が絡む。ノッポのぐずを探す旅は「人は何のために生きるのか」を求めた旅でもある。

【キャスト】

ノッポ:関戸滉生/熊:森下高志/弱虫:杉山賢/オリーブ山の老婆:小林もと果/けち:岡田千咲(A)・丹羽彩夏(B)/ひばり:中根瑠理(A)・原田祈吹(B)/ぐず:西本亜美(A)・山崎稚葉(B)/男:林修司/家政婦:深町麻子/助教授:谷口就平(スターダス・21Neu)

女たちの自負 テネシー・ウィリアムズ一幕劇

作:テネシー・ウィリアムズ
演出:「罠」江原吉博、「語られざるもの」原田一樹

【あらすじ】

「罠」薄汚れた部屋で娘の帰宅を待つ母。深夜、男に送られて帰るグローリアは売れない女優。年齢を偽り求職広告を出したところ。肺病に侵されながら舞台での栄光の夢にすがり、今はただ運が悪く「罠」に落ちているだけだ、と現実逃避を続けている。その娘に母もまた何の援助もできず、生き方を変えさせることもできない。「私も運が悪かった」と呟くだけである。

「語られざるもの」南部ニューオーリンズの裕福な邸宅の一室。主人コーネリアは60歳になる未婚女性。気位が高くこの日も婦人会の理事長選挙があり、行方を気にしているが出席せず、満場一致で推挙されるはずだと、配下の夫人に様々な指示を出す。同居する秘書のグレイスはこの日がコーネリアに仕えて15年目の記念となる。「語られざるもの」は二人の間にある雇用被雇用を超えた感情。だがお互いに自己の崩壊を恐れ口にできない。女性故の孤独の檻は、結局破られることはない。

【キャスト】

「罠」小林もと果/中根瑠理/宮西徹昌「語られざるもの」古木杏子/内田尋子