さてみなさま、お待たせいたしました!

劇団突撃インタビュー第3弾は、「怪優」玉置玲央さんにお越しいただき、たっぷりインタビューさせていただいております★

前回は、玉置さんの俳優として、また、演出家として考えていることなどを深く掘り下げてお聞きいたしました。

 

その1はこちら!

 

今回は、さらに踏み込んで、作品について語っていただいちゃいます★

 

 

FLYER OMOTE OUT

この7人でやれることに、飽きよう。

―観劇三昧で配信されている柿喰う客「無差別」では狗吉役を格好よく演じられていました。この作品の見どころは?
玉置:狗吉もすごく印象に残ってる役ですね!でも、自分というよりは、当時の劇団員7人だけでどれだけのことができるのか、という挑戦をしていたんです。
中屋敷(柿喰う客主宰/作演出)も、よく言うんですけど。この7人でやれることに、飽きよう、と。

―飽きる?
玉置:そう、今やっている演劇プランにしても、座組にしても、早く飽きて、新しいことをどんどん見つけていこう、と。
で、そのバランスがなんかちょっと不思議な時期で、新しいことにどんどんチャレンジしていた。
作風にしても、稽古の進め方にしても、挑戦を色々していたな、と思い出します。
その時の劇団員全員、7人でこんなことやっちゃうんだ!という劇団の「覚悟」を観てほしいです。

柿喰う客「無差別

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「どんなもの観せてくれるんだよ、新生柿喰う客」

―柿喰う客新作「虚仮威」は、どんな作品になりそうですか?
玉置:劇団員総出演は「天邪鬼」以来1年ぶりですね。
今年一年、柿喰う客っていろんな公演・活動をしてきたんですよ。でも、劇団員全員が俳優として一同に会することが一度もなかったんです。
新劇団員が入って、男子は男子(柿喰う客フェスティバル2016 『フランダースの負け犬』)で、女子は女子(柿喰う客フェスティバル2016 『露出狂』)でやってましたしね。
一人は海外に行ってましたし。

―あれだけ色々されてるのに、揃われなかったんですね。
玉置:そうそう。で、ようやく集まったんです。
だから本当は、中屋敷も出演してほしいんですけどね。13人で、やれることやったほうがいい。

―確かに、一瞬でもいいから舞台に立ってほしい気になりますね。
玉置:まあ、作演出なのでもちろん参加はしているんですけどね。
勝手知ったるメンバーで、人によっては13~4年、一緒にいましたから、演劇をやる上での「相手を愛せる可能性」ってのは、なんとなくもう判ってきてて。
それもあって、中屋敷は劇団員を増やしたんですよ。
そうなると、今度は真逆で。まったくゼロの、純粋無垢なコミュニケーションを取るわけですよ。
俳優として何ができるか、どういうこと考えているのか、全く知らないひとと、「劇団」でコミュニケーションを取っていくってことが、すごく新鮮で。
だから、今はとにかくそれを探っています。劇団として、劇団員としての共通言語や共通認識を持つことに躍起になっている。
今までのメンバーだけで良かったじゃんとか、メンバーが増えたことに対して特別な違いがなかったとか思われたら意味がない。
増えたからこそ作れる作品、作品の意味。やっぱり劇団としての「覚悟」を観てもらいたいです。

―観る方にも、覚悟が要りそうですね。
玉置:それ!そうなったらいいなぁって思っているんです。
敷居を高くするつもりは全然なくて、「どんなもの観せてくれるんだよ、新生柿喰う客」ってぐらいの感じで観てもらいたいですね。

―新しく劇団員が増えたのは、久しぶりのことだったんですか?
玉置:5年ぶりに6人が増えたんですよ。今までが7人だったので、新しいひとと元々いたひとと、半々ぐらい。
状況ががらっと変わった。だから、どうなるのかなって思っています。
今までの柿喰う客から、何が変わるのか。僕も楽しみです。

 

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「演劇の地図」を作りたいって思っていて。

―先日配信が開始されたカスガイの「リビング」を作るにあたって、どんなメッセージを込められましたか?
玉置:09年の作品ですしね、見直してみて、僕若ぇなー!って思いました(笑)
当時考えてたことは「死んでも仕方ないよ、生きてた方がまだいいよ」っていうこと…かなぁ。
わー、観てもらいたいな、話すより(笑)

―そこを何とか!(笑)
玉置:第2回公演の「バイト」でもそうなんですけど、「人が人のために生きる、人のために死ぬ」みたいなのが好きだし、しゃらくせぇ!って思うんですよ。
「リビング」って3つの意味があって、Living Room、生きている(live+ing)、出ていく(Leaving)の3つ。
この中でも、「生きる」っていうことをカスガイでは主題としています。
あと、SF(セックスファンタジー)、性にまつわるお話をテーマに入れていますね。
生きる上でどうしようもないことにとらわれたり、とらわれなかったり、それで起きるごたごたとかが好きなんです。
「リビング」の時は、とにかくそういうのをトゲトゲしく出してみよう!って思ってました。

―トガっていた感じとか、まさに若さですね。
玉置:メッセージ性が強い、っていうと言葉はいいんですけど、とにかく主張の強い作品でした。
うるさいわ!玉置のやりたいことはわかったわ!ってなる作品だと思う。実際そういう感想もいただきました。
でも、自分のやりたいことやろうと思って立ち上げた団体で、やりたいことやらなかったら意味わからないじゃないですか。
だから好き放題やらせてもらったんですよね。
メッセージは、やっぱり「生きる」ってことですね。

―生きるのって楽しいよ、ってこととか?
玉置:生きるのってしんどいな、だったり、面倒くさいな、だったりも。
生きるよね、人って!ってことだと思う。
もう、色々語るよりとりあえず観てほしい!(笑)

カスガイ「リビング」

―カスガイの新作は予定ありますか?
玉置:やりたいことは無限にあるんですよ。カスガイでは「演劇の地図」を作りたいって思っていて。
同じ街、都市だけど違う場所、違う時代のことを描いているんです。
出てくるのは架空の街なんですけど、そこに細かい設定とか…建物や歴史、時代背景なんかを用意していて。
それに則って、原案を作っているんです。そこに今一番伝えたいこと…憤りとか、悲しいこと、とかを乗っけて届けていけるといいなと思っています。
上演予定は未定だけど、こんな話にしたい、こんなことをやりたい、という原案は、すでに7公演ぶんぐらいできています。

―街があれば人がいる、人がいればそれだけ物語が生まれますもんね。
玉置:今のところ、各作品に必ず名前だけでも出てくる登場人物が3人います。もちろん架空の人物ですが、今後の作品も、この3人にまつわる話になると思います。
来年、再来年には次回公演がやれたらいいな。

―それは楽しみです!ぜひ大阪でも公演してくださいね。
玉置:大阪には絶対来ます!

―ありがとうございます!それまでに「リビング」も「バイト」も観たいですね。
玉置:そうそう、「リビング」が動員888名、「バイト」が2000名なので、「バイト」を観たけど「リビング」を観てない、ってかたの方が多いんですよ。
「リビング」が上演されたのはだいぶ前ですし、DVD販売しなかったので。
実は「バイト」には、「リビング」を観ているとなお楽しめる、っていう内容がいっぱいあったんですよ。
「バイト」を観たときに「何だこの設定?」ってなった方は、ぜひこの「リビング」を観て、3年ぶりの答え合わせ、伏線回収をしてもらいたいですね。

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演劇の世界を軽やかにお散歩ができたらいいなって。

―今後、演劇活動を続けていく中で、目標を教えてください。
玉置:「演劇を散歩する」が最終目標ではないけど、最近のテーマです。
諸先輩がたの「頑張って、無理をして」演劇をやっていない姿に衝撃を受けたんです。
演劇が在ること、演劇で生活をしていること、それが当たり前なんです。
生活の一部になっているんですね。起きて「ご飯を食べる」が当たり前なように、生きて「演劇をする」。
それってすごく素敵だなって思いました。
僕の場合は、それをさらに遊ばせて、演劇の世界を軽やかにお散歩ができたらいいなって。

―とても玉置さんらしい感覚ですね。
玉置:演劇って、難しいものではないんですよ。もちろん誰でもができるものではないけど、敷居が高いものではないんです。
それは、演劇に携わるにしても、演劇を観るにしても。
飄々と演劇を「生きる」人がいて、それを見て、「ああ、これぐらい身近なものなのか演劇」って思ってもらえたら、
演劇というものが柔らかくなって、いろんなところに波及していくんじゃないかな、そうなればいいなと思っています。

―ありがとうございました。

 

柿喰う客 次回公演

「虚仮威」

▼三重公演
2016.12.2[金]~12.4[日]
三重県文化会館 小ホール

▼仙台公演
2016.12.17[土]~12.18[日]
エル・パーク仙台 スタジオホール

▼東京公演
2016.12.28[水]~2017.1.9[月]
本多劇場

▼大阪公演
2017.1.19[木]~1.22[日]
ナレッジシアター

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