~団体立ち上げから30年。長く愛される団体の今~

こんにちは!
今年こそは観劇の春にしたい、観劇三昧スタッフです。

弊社提供アプリ「チラシ手帖」に掲載公演団体の方々のお声を、インタビュー形式でお届けするシリーズ、チラシ手帖 団体紹介スペシャル☆!
観劇三昧だからこそ聞ける劇団や公演のお話、今回もぜひ楽しんでいってください📖

早くもシリーズ第3回目をお届けします!

さあ今回のご紹介は…

「名取事務所」より、代表・名取敏行さん!

そして、名取事務所 次回公演『鹿鳴館異聞』演出・扇田拓也さん!



【名取事務所 プロフィール】
1996年(平成8年)設立。
演劇プロデュースを主とし、コンテンポラリーダンス、映画制作等とそれに伴う、ワークショップなどを手掛ける。

演劇分野においてはイプセン現代劇連続12作公演、別役実海外交流シリーズ等の企画制作、現代韓国演劇上演、現代カナダ演劇上演等を手掛ける。
また自治体、企業との共同制作、海外公演等の活動を展開し、最近ではパレスチナ演劇上演を手掛けた。『占領の囚人たち』は 2024年に NHK ワールド JAPAN「Newsline in Depth」で放映され、世界各国に紹介された。また自主上映会は全国約40カ所で開催。

新規企画としてアイルランド、オーストラリア人作家による新作書下ろし作品の上演が2028年、2029年に予定されている。


【名取敏行 (なとりとしゆき) プロフィール】
名取事務所代表。
劇団浪曼劇場(三島由紀夫主宰)、五月舎、劇団俳小を経て 1996年3月名取事務所を設立。
旗揚げ公演イプセン作『人民の敵』を1作目とし、イプセン連続公演12作品のプロデューサーを務める。演出・翻訳は全て毛利三彌 (成城大学名誉教授)が担った。

この実績を活かしチーフプロデューサーとして国際イプセンフェスティバル東京を3回開催する。
公演として別役実、内藤裕子、詩森ろば等の書下ろし作品を上演している。

翻訳劇のシリーズとしては現代韓国演劇、パレスチナ演劇、現代カナダ演劇、アイルランド演劇等を上演している。

プロデューサーとして関わった作品は多くの賞を獲得。また海外公演のスペシャリストでもあり演劇にとどまらずコンテンポラリーダンス、音楽等も手懸ける。
文化庁在外研修制度で 2003年ロシア、2018年ノルウェーでの調査・研究を行っており、現在は国際演劇協会(ITI)日本センターの理事も務めている。


【扇田拓也 (せんだたくや) プロフィール】
1976年、東京都生まれ。
日本大学芸術学部演劇学科在学中の 1996年に、自身が脚本・演出を手掛ける劇団「ヒンドゥー五千回」を旗揚げ、2018年4月の最終公演を機に劇団名を「空 観」(くうがん) に改め再起動。
野田秀樹が立ち上げた「東京演劇道場」の1期生として 2019年より始動。
てがみ座、名取事務所、趣向、人形劇団ひとみ座、日生劇場ファミリーフェスティヴァルなどの公演で演出を担当し、俳優座研究所の講師、演劇系大学での非常勤講師や市民劇、沖縄での滞在制作を積極的に行っている。

詳しくはこちら



今年は名取事務所設立30周年の節目にあたる年。

海外演劇・海外での公演にも積極的でありながら、日本社会を掘り下げるような作品も届けられている名取事務所。
次回公演『鹿鳴館異聞』で演出を務められる扇田さんからの、公演につながる貴重なお話もお見逃しなく!

それでは今回も参りましょう✨


―― まずは、1996年に名取事務所を立ち上げられたきっかけを教えてください。

名取敏行さん:
(以下、名取)
大きい組織にいると企画を立ち上げるまで時間がかかり、その芝居の旬が失われるので。自分の事務所だと、全て自分で決めることができます。

これといった動機はなく、自分でも出来るだろうと思ったということですかね。

―― 公演を企画するのには、さまざまな確認や許可が要りますからね…!
演劇には、この時だからこそこの作品の上演に意味があるというまさに「旬」が存在します。
大切にされている劇団も多いのではないでしょうか。

―― 今年は設立30周年ということで、誠におめでとうございます!
振り返ってみていかがですか?まずは所属俳優の変遷について。

名取:
所属俳優は増えるばかりです。
所属を希望する俳優は結構いますが、積極的には採用していません。

―― 名取事務所へは狭き門 ですね…今所属されているのも実力派の俳優さんばかりです。
次回公演『鹿鳴館異聞』では名取事務所から西山聖了さん、鷲巣照織さんがご出演されます!

―― 制作の雰囲気はどうでしょうか?

名取:
私の好きな作品だけをプロデュースしています。
うちの制作に入れば一流になれます。

―― 名取さんに憧れる演劇を志す者、集まれ!
今年の公演ラインナップはこちらです。先取りしてチェックを👀

―― 長らく活動されてきましたが、コロナ禍の影響などはどうでしたか?

名取:
ずっと大変なので、コロナ禍でも大丈夫でした(笑)

―― 30年も続けていれば、大変なことがたくさん(笑)

(『ペーター・ストックマン「人民の敵」より』公演写真。撮影:坂内太)


―― もう少し具体的に今までの公演についてお伺いします!
立ち上げ当初のイプセン連続公演12作品の上演には、どのようなきっかけがあったのですか?

名取:
立ち上げた当時、周りはほとんどシェイクスピアとチェーホフ作品だらけでした。
1999 年からのイプセン連続公演 12 作品は、それに反発したことと独自性を出すためです。
イプセン演劇に関しては、私より詳しいプロデューサー・役者はいません。

―― 数ある団体の中で生き残っていくには工夫が必要。
イプセン12作品を通して、結果的に団体のアイデンティティにもつながったのですね。

(イプセンシリーズ最終公演『野がも』公演写真。撮影:松本和幸)

―― それからは積極的に、海外演劇のシリーズを。

名取:
2009 年からのロシア現代劇連続上演シリーズは、文化庁の在外研修でモスクワに滞在して、コネクションがあったので。
現代カナダ演劇は、カナダの国自体が多文化共生を体現している国なので惹かれました。

―― 観劇三昧ではエーシーオー沖縄との共同企画・制作『カタブイ、2025』を配信いただいていました。

名取:
沖縄を考えることは、日本を考えることです。
当然の如く沖縄のカンパニーであるエーシーオー沖縄と共同制作を実施し、お客様の反応は制作意図通りでした。

―― 日本の歴史と絡めた演劇を上演し、観客に考えさせる名取事務所。
観劇三昧では、名取事務所の過去作品映像がご覧いただけます!
※『カタブイ、2025』は販売終了しております。

―― これまでさまざまな賞を受賞されていますが、コンスタントに受賞し続ける秘訣はありますか?

名取:
賞は、取ろうとすると逃げます。
向こうから勝手にやってきます。

とにかく自分の好きな作品をやり続けることです。

―― かっこいい名言…
何かを目指そうとすると、たしかに自分のやりたいことが出来なくなってしまうこともありますよね。
そんな名取事務所の受賞歴を、一部だけご紹介!


2018年 (平成30年)
現代カナダ演劇『屠殺人ブッチャー』上演:第25回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞。

2020年 (令和2年)
現代韓国演劇『少年 B が住む家』上演:第75回文化庁芸術祭優秀賞を受賞。

2022年 (令和4年)
別役実メモリアル3部作上演『やってきたゴドー』『ああ、それなのに、それなのに』『病気』および 現代韓国演劇上演『そんなに驚くな』の優れた舞台成果:第57回紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞。

2023年 (令和5年)
ACO沖縄との共同制作作品『カタブイ、1972』:第10回ハヤカワ悲劇喜劇賞を受賞。
『占領の囚人たち』『屠殺人ブッチャー』『慈善家―フィランスロピスト』:第15回 小田島雄志・翻訳戯曲賞を受賞。

その他受賞歴はこちら。


―― 続いて、次回公演『鹿鳴館異聞』についてお伺いします!
『鹿鳴館異聞』を今上演する理由、意図があれば教えてください。

名取:
堤春恵さんの作品は、現代劇作家と違って日常語ではなく、歴史、セリフ、テーマは他の作家と一線を画しています。
ぜひそれを見て頂きたい。

―― 『鹿鳴館異聞』は劇作家・堤春恵さんの作品です。堤さんは、アメリカで長年演劇を研究されており、ご自身の作品でも異文化の比較や摩擦を取り入れ、掘り下げられています。

また今作は、1988年に文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を受賞されています!

―― 名取さんは作者の堤さん、演出の扇田拓也さんとはどのようなコミュニケーションを取られていますか?

名取:
一旦演出を決めたら基本的には一切口を出しません。作家に対しても同様です。
書き下ろしの作品の時は納得いくまで7、8稿まで行く時があります。

―― 書き下ろしを依頼されるときは 8稿まで…!
プロデューサーという立場として、他の方にお任せする部分は信頼の上でお任せするというのも、とても良い強固な関係だと言えますね。

―― ここからは演出の扇田さんにもお話をお伺いします!
今回、堤さん作品特有の表現にこだわりはありますか?

扇田拓也さん:
(以下、扇田)
脚本家の堤春恵さんは、歌舞伎がとてもお好きなので、登場人物の設定にも歌舞伎の要素があります。
今回、初演では描かれなかった歌舞伎的な、ケレン味ある手法にもチャレンジする予定ですが…
あまりネタバレしたくないので、これは観てのお楽しみ!とさせてください。

―― 初演とまた違った演出が楽しめるのかも…?
演劇は初演、再演…と続くにつれて、変わっていく演出があったり、反対にずっと変わらないものがあったりするのが醍醐味です。

「ケレン味」とは?なんて説明を書こうと思いましたが、そちらも観てのお楽しみ!にしていただきましょう!

―― 作品を通して、何か伝えたいメッセージはありますか?

扇田:
この作品は、初代文部大臣を務めた森有礼(もりありのり)の妻・広瀬常(ひろせつね)の「想い」を軸として描かれています。
一人の女性として、子を持つ母として、本当の意味での「自由と解放」を手に入れようとした彼女の姿を、やわらかく美しく、そして躍動感のある現代劇として創作したいと思っています。

国や民族に目を向け、大きな枠組みを重視すべしという現代にも通じる風潮、そんな大きな力に飲み込まれない、一人の女性の叫ぶ姿を見届けていただけたら嬉しいです。

―― 歴史の教科書だけでは学べない、実在した人物の「想い」。
現代にも通じる何かを観客の方にもぜひ感じ取っていただけますように。

―― チケット代のお話になりますが、学割がかなり安いですね…?

名取:
これからの人が興味を持たなければ、演劇は終わります。

―― まさに!未来に演劇を継いでいくためですね。
学割は2,500円、高校生以下はなんと500円です!最後にチケット情報の詳細があるのでお見逃しなく。


―― さて、稽古は進行中だと思いますが現在の状況はどうでしょうか?

扇田:
いま稽古場では、とても洗練された俳優さんたちが、素晴らしい集中力で、懸命に脚本に向き合ってくださっています。脚本の堤さんともたくさん意見を交わしています。

俳優の皆さんそれぞれ、演じる役柄にとても明るく誠実に向き合っているので、場面を稽古していて、笑いも起こるし、美しい瞬間が幾度も訪れます。
まだまだ稽古の中盤ですが、とても素敵な作品になる予感がしています。

―― 俳優が役に一生懸命に向き合うことで、初めて成り立つ脚本と演出。
一人ひとりの想いと努力が創り上げる作品は、本当に美しいです。

―― 演劇初心者へのオススメポイントはありますか?

名取:
芝居は面白いか面白くないかの2択です。
先ずは色々な芝居を見る事だと思います。

そして自分が面白いと思った劇団の作品を見続ける事だと思いますが。

―― 学割のお話もそうですが、演劇はまず観に行くことから始まります。
そこで得られる体験から想像を膨らませたり、自分の価値観について考えるきっかけになったりしますね。

―― 最後に一言お願いします!

名取:
先ずは見に来て頂きたい。
恐らく肉声が聞けるのは芝居しか残らないでしょう。

(上段左から『鹿鳴館異聞』[出演] 鷲巣照織・松本紀保・千賀功嗣
下段左から[演出] 扇田拓也、[出演] 平体まひろ・藤田一真・西山聖了 )


名取さん、扇田さん、力強いお言葉と貴重なお話をありがとうございました!

まずは演劇を観にいく、ということ。観たものから何かを感じるということ。
この春一歩踏み出してみませんか?

ご予約は各種プレイガイドから。
アフタートークやプレトークがある回もございますので、ぜひチェック!!

■公演情報■

名取事務所『鹿鳴館異聞』

【公演日時】
2026年3月11日(水)~3月15日(日)

3/11(水) 19:00
3/12(木) 14:00 ☆アフタートークあり / 19:00
3/13(金) 14:00 ★プレトークあり・手話通訳公演 / 18:30 ★視覚障がい者向け事前解説あり(要予約)
3/14(土) 14:00
3/15(日) 13:00
※受付は開演45分前から。開場は開演30分前から。
※休憩なし。

【劇場・アクセス】
東京芸術劇場シアターウエスト
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1

JR・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線、池袋駅西口より徒歩2分。

【チケット料金】
前売:5,500円 / 当日 6,000円
シニア(70歳以上)・障がい者割引:4,500円
学割:2,500円
高校生以下:500円

【キャスト&スタッフ】
松本紀保 / 千賀功嗣(劇団俳優座) / 平体まひろ(文学座) / 西山聖了(名取事務所) / 藤田 一真(劇団俳優座) / 鷲巣照織(名取事務所)

作:堤春恵
演出:扇田拓也
プロデューサー:名取敏行
製作:名取事務所


その他詳細はこちらから。

「チラシ手帖」に掲載の公演チラシも忘れずチェック!!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

30年という歴史を積み上げられ、演劇界にも意義のある作品を残し続ける名取事務所の今後の活動にもご注目ください。

チラシ手帖団体紹介スペシャル、次回はどの団体!?
乞うご期待!


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