こんにちは。武田です。
現在、観劇三昧で配信されている作品はおよそ639作品。しかも毎週増加中です。
その中で好みの作品を探すのはちょっと大変です。
そこで、毎回一つの作品をスタッフがレビューしていきます。
それを参考に好みの作品を探す手掛かりにしてほしい。
そんなコーナーです。
今回レビューする作品はこちら。
baghdad cafe’
「リターン☆プラネット on stage」
【baghdad cafe’】
2003年8月に結成。
大阪を中心に、泉寛介の脚本・演出で公演を行う。
日常から宇宙を舞台にノスタルジックなエンターテイメントを自然体でつくる劇団。
やさしい演劇を目指し、観終わった人がほっこり元気になることを目的としている。
【概要】
第14回公演
【ジャンル】
SF コメディ
【あらすじ】
かつて時代劇映画の黄金期を支えた富良根都 撮影所は、衰退の一途をたどっていた。
銀幕スターを夢見て上京した☆子(すたこ)は、危機感の無い撮影所の面々に不満を抱えていた。
ある日、オーナーの娘である茉莉は「一カ月後に、無駄なこの撮影所を潰してスイーツアトラクション施設を建てる」と言い出す。困った関係者たちは、すごい映画を作って見返してやろうと意気込む。黄金期のような活気を取り戻していくスタッフ達。しかしそんな中、妹から「実家が大変だ」と聞いた☆子は、泣く泣く実家のある田舎惑星「たもつ星」に帰星(帰省)。
そこで☆子が見たものは、変わり果てた実家の姿だった……。
baghdad caféが贈るノスタルジックSF大河コメディエンターテイメント!
【観る前の印象】
SF×コメディ、これは絶対に面白い!
【感想】
前にも言ったかもしれないが、いい舞台にはいい前説がついているものだ。
前説は作品の第一印象であり、ここが気に入らないと肝心の芝居も斜めに見てしまう。それほど重要な事だ。
今作の前説は変わっていた。
今となっては少し懐かしい某・雪の女王のテーマを歌いながら登場したのは、前説界では知らぬ者はいないスーパーMC、セプテンバー洒井さん。
前説マニアの僕は姿勢を正して聞いていたが、一向に前説が終わる気配がない。マシンガンのように放たれる小粋なジョークが全く鳴りやまない。姿勢良くしているのもしんどくなってきた。
結局彼は照明も落とさずに10分ほど前説を行った。ここまでくるともう前説ではない。立派な本編だ。
かなりの衝撃だった。まだ本編に入っていないのに。早くレビューに移ろう。
始まったのは時代劇、まずは殺陣に始まり、そこから流れるようにダンスと歌に続く。ここまでは舞台ではよく見かける光景だ。
しかしここにも変わった点が一つ。歌詞に字幕がついているのだ。気になって仕方ない。バックスクリーンに映像が移されているのも相まって、歌番組か映画を観ているようなおかしな感覚になってきた。
途中まで観たあたりで、僕は一旦休憩することにした。身体的な意味もあるが、何よりも脳が追い付かなくなったからだ。
今作のキーワードは「時代劇」と「革命」と「介護」。一見何の関連もなさそうなこの3つの要素が交じり合い、互いに反発することもなく見事に一つになっている。その事実を僕の固めの脳みそは理解したがらなかった。そんな事あるわけない、と言うのだ。
登場人物がちょいちょいメタな発言をしてこちらを現実に引き戻すのも原因の一つだろう。
頭が冷えるにしたがってある考えが浮かんできた。「そもそも楽しみ方がちがうんじゃないか?」と。
僕はどうしても固く考えすぎる。舞台を観るという事を難しく考えすぎているのではないか?と。
それを踏まえてもう一度再開。すると、新しい視点が見えてきた。
前説から今までこれでもかと放たれてきたエンタメ要素。歌にダンス、映像、某歌劇団のパロディ、フリップ芸…挙げだすときりがない。
そのひとつひとつに堅苦しい理由はない。全ては観客に楽しんでもらうため。エンタメに特化した結果だ。
しかし、単なるどんちゃん騒ぎではなく、真面目に語れば暗い内容になってしまいそうな「介護」や格差から起こった「革命」をエンタメと時代劇で味付けして明るく、観やすくアレンジしてある。しかし、深読みしようと思えばいくらでも深読みできるような含みを持たせた演出も見逃せない。奥の深い作品だ。
理屈ではなく、本能で楽しむも良し、とことん深読みして考察しても良しの、誰にでもオススメできる一作です。是非に。
余談になるが、劇中歌の「ああ、時代劇」と「ああ、大宇宙の謎」はカラオケでも配信されている。
シニカルな歌詞がとても印象深い曲だ。こちらも是非に。
笑える度 ★★★★☆
エンタメ度 ★★★★★
ファンタスティック度★★★★★
リターン☆プラネット on stage
【観劇三昧クイズ】
Q.今回の日替わりゲストは?
【こんな人にオススメ】
・理屈っぽい人
・観劇初心者
作品紹介
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・日時
2014年 4月18日~21日
・会場
インディペンデントシアター2nd
・キャスト
一瀬尚代
ハシグチメグミ
辻るりこ
有元はるか(はちきれることのないブラウスの会)
大江雅子
川添公二(テノヒラサイズ)
木下聖浩(kei’sWorks)
是常祐美(シバイシマイ)
佐々木ヤス子
条あけみ(あみゅーず・とらいあんぐる)
殿村ゆたか(melonallstars)
成瀬トモヒロ
松本茜(meyou)
山根千佳(TAKEITEASY!)
林遊眠(劇団ショウダウン)
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