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劇団インタビュー

劇団突撃インタビュー★圧倒的身体能力で「怪優」と称される、10周年を迎えた劇団の看板俳優に突撃!(その1)

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少しずつ恒例化してまいりました、劇団突撃インタビュー!

インタビュアーも慣れてきまし…た…?(緊張のあまり前日はなかなか眠れない感じになります)

■劇団突撃インタビューって?

【観劇三昧】とつながりが深い、噂の「あの人」に観劇三昧が突撃インタビューします!

俳優/脚本・演出家/劇団代表など、普段は舞台の上でしか見ることができないあの人の、

なかなか聞けない本音や裏話、演劇に対する想いを存分に語っていただきます。

これを読めばもっと劇団が好きになるかも?知らない劇団なら、知るきっかけになるかも?

そんな、日常にちょっとしたワクワクをお届けする新コーナーです。

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さて、本日のインタビューのお相手は!

柿喰う客の看板俳優!カスガイ主宰!舞台はもちろん、映像作品への露出も多い、今まさに注目のひと!

玉置玲央(たまおき れお)さん!

はい男前!

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■柿喰う客

青山学院大学演劇研究会に所属していた中屋敷法仁が、自身の作・演出作品を上演する演劇ユニット「柿喰う客」として発足。
2006年1月1日に正式に劇団として結成。
演劇特有の虚構性を重視した躍動感あふれるパフォーマンスが特長。
古典作品のアダプテーションや他ジャンルのアーティストとのコラボレーションも実施。
女優のみでシェイクスピア作品を上演する「女体シェイクスピア」シリーズは好評を博し、2016年現在8作品を上演している。
「こどもと観る演劇プロジェクト」や「高校生のための演劇プロジェクト」など、幅広い観客層への作品上演も積極的に展開。
2015年に上演された「天邪鬼」では、東京・兵庫・岐阜の三都市公演で過去最高動員の5000名を達成。

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オフィシャルHP:http://kaki-kuu-kyaku.com/

Twitter:@kaki_kuu_kyaku

Facebook:https://www.facebook.com/%E6%9F%BF%E5%96%B0%E3%81%86%E5%AE%A2-264194713606294/

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■玉置玲央(たまおき れお)

1985年3月22日生まれ、東京都出身。
身長171cm、A型。
特技:運動全般、ドローイング

私立関東国際高校 演劇科卒。
柿喰う客劇団員 カスガイ主宰 ゴーチ・ブラザーズ所属
2005年、「挿入ジェノサイド」より柿喰う客に参加し、2006年、柿喰う客の劇団化とともにメンバーとなる。以降、ほぼ全ての公演に出演している。
2007年、演劇ユニットカスガイの活動を開始、主宰する。全ての公演で、原案・演出を担当。
NHK大河ドラマ「真田丸」織田信忠 役や、2016年11月よりスタートするNHK総合テレビドラマにレギュラー出演するなど、近年さらに露出が増えている。
酒は一滴も飲めない。

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オフィシャルブログ:「博愛日和」

Twitter:@reo_tamaoki

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■カスガイ

2007年、柿喰う客の劇団員である玉置玲央が、「演劇でお客様と色濃く繋がる」為に様々な可能性を模索するべく立ち上げたプロデュースユニット。
2009年に「リビング」で旗揚げ、888人を動員し、王子小劇場で旗揚げ公演を上演した団体の最多動員記録を樹立。
この公演で、佐藤佐吉賞にて最優秀舞台美術賞、最優秀主演男優賞のほか、多数の優秀賞を獲得。
2013年「バイト」では東京・大阪2都市で公演を行い、2000名以上を動員。

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オフィシャルブログ:http://kasuguy.seesaa.net/

Twitter:@kasuguy

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いただいたら、それに報いる、応えるっていう相互関係

―演劇を始めたきっかけは、高校進学時に演劇科を選択したことから、だったようなのですが、もともと演劇に興味を持たれていたのですか?
玉置玲央さん(以下玉置):まったくなかった。中学の時、高校に行く気が無かったんです。中卒で働こうと思ってたりして、3月末になっても行く高校が決まってなかったんです(笑)
そのころだと、高校側が2次募集、3次募集をかけてくるんですけど、それを見て中学の先生がおススメしてくれた高校が、関東国際高校だったんです。
そこの、韓国語科、ロシア語科、演劇科の3つが定員割れしてるっていうことで。
この中で、高校3年間を楽しく過ごせるのはどれだろうとなって、僕は演劇科を選んだんですよ。それがきっかけで、僕の演劇が始まりました。

―それまで、演劇には触れたことも無かった?
玉置:うーん、学芸会とかで、出演するのは好きでしたね。

―高い身体能力と響く声、幅広い演技力で「怪優」と称される玉置さん。目指したり、影響を受けた俳優さんはいらっしゃいますか?
玉置:むかしはチョウ・ソンハさん(ひょっとこ乱舞[現:アマヤドリ]の旗揚げメンバー。現在は成河[ソンハ]と改名)がヒーローだった。
そのころ僕は、自分がこんなに運動するタイプの俳優になると思ってなかったんですけど、身体を動かすのは好きで。彼を観たときに、「こんなに動けて個性的な俳優さんがいらっしゃるんだ」と衝撃を受けました。凄い憧れてましたね。

―成河さんを目指したかった?
玉置:そうですね、いや、超えてみせる!って思ってました。

―演技をするうえで、一番気を付けていることは何ですか?
玉置:コミュニケーションですね。演劇って自分だけで完結できることじゃないから。例えば運動ができる、とか、大きい声が出る、とかって自分だけで何とかなることじゃないですか。
やっぱり総合芸術なので、対、相手役だし、対、作演出だし、対、お客様だし。もちろんスタッフさんもいらっしゃって、なりたっているんです。
座組(※公演に携わるメンバーや組織の総称)に居る上で、相手からもコミュニケーションを求められて、こちらからも求めて、総合的に成り立って、作品を作って、公演を迎えるっていうのが一番良いんじゃないかなって思います。

―ご自身が、コミュニケーションを取りに行くのはもちろんだけど、相手からも取ってもらえる、取りやすい環境を作る、ということでしょうか。
玉置:そうですね。そういう空気とか現場づくりをしようと心がけています。

―その場に居て違和感がないというか、そこに居てくれると嬉しい、という人は素敵ですね。
玉置:そうなれるといいな、と思っていますね。

―公演前、劇場入り後等に絶対行う、ジンクスのようなものはありますか?
玉置:色々あるんですが…本番3時間前には必ず劇場にいて、1時間はアップをする、かなぁ。
舞台上でも舞台袖でも、ロビーとか、その劇場空間を感じながらアップをする、っていうのかな。
そこでの時間の過ごし方がうまくいくと、やっぱり本番もすごくうまくいくような気がする。
あとは…開場直前までは舞台上でなるべく過ごす。
各スタッフさんと舞台に挨拶する。これはもはやジンクスというより儀式なんですけど。
絶対、どの現場でもやってます。やらなきゃダメだ、失敗する、って思ってます(笑)

―そういう儀式的なの素敵です!気持ちの安定って大事ですよね。
玉置:まあ、自己満足にすぎないと言えばそうなんですけど、満足はしないより、したほうがいいじゃないですか。

―公演時にいただいて嬉しい・嬉しかった差し入れって何ですか?
玉置:何いただいても本当嬉しいしありがたいんですよ。食べ物、飲み物、身に着けるもの、手作りのもの、お手紙、ハンドクリームとか入浴剤、お花。
特に印象に残っているものだったら、「のれん」ですね。
カスガイのロゴって、実在する家紋を加工して作ったものなんですけど、そのロゴが入ったのれんをくださったんですよ。それは凄くうれしかった。
くださった方に応えるために、そののれんを飾るために「楽屋の個室を用意してもらえる俳優にならなきゃ」って思いました。
それに限らずですが、差し入れをいただいたら、それに報いる、応えるっていう相互関係はいいなって思っています。

―それは確かにすごく嬉しいし、励みになりますね。
玉置:あとは、カスガイの第2回公演「バイト」の時にいただいた、舞台美術を模した、枯れないお花のフラワーアレンジメントですね。
すごくこの作品を愛してくださったんだな、と感じました。

―とすると、その方は1回公演を観られて、翌日以降にその差し入れを持ってもう一度お越しになられた、と?
玉置:そうですね。それも嬉しいことです。お花のセンスもすごく良くて、今でも飾っています。

―これまで演じてきた中で、一番印象に残っている役は何ですか?
玉置:僕ね、演じてきた役を忘れないんですよ。役のセリフや、稽古風景、当時の状況ってなかなか忘れられないタイプなんです。
だからその質問難しいなぁ(笑)
うーん、三御堂島ひより(一人芝居「いまさらキスシーン」より)は何度も繰り返して演じているので、ライフワークみたいになっているなって。
もう7~8回演じてますから。それはやっぱり印象深いですね。
僕の役、というよりは、その座組や、作品そのものの印象が残っていることが多いです。
「こどもの一生(2012年11月 PARCO&cube Presents公演)」の時、座組の諸先輩方の中で、必死でやらせてもらったこととか。
「荒野のリア(2014年3月 T Factory公演/エドガー役)」では、麿さんや手塚さんのような偉大なる先輩方の下で、甘えて好き放題やらしてもらったりとか。
役を含めた現場の印象がすごく残っているものが多いです。

―玉置さんは、本当に座組の雰囲気を大事にしてらっしゃるんですね。
玉置:だって、自分のことってもう、勝手にやったらいいことじゃないですか。
演劇やるんだったら、自分のことは一回置いといて、人のことや、人と何ができるかを考えないと、楽しくない。

―ひとりじゃ作れないですもんね。
玉置:そう!それ。一人芝居だって、作演出家やスタッフさん、お客様が居ないとできないんですよ。

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面白いものを作るために妥協しない空間づくりをしたい。

―俳優として幅広く活躍されている玉置さんですが、「カスガイ」の主宰として、原案・演出もおこなわれています。
 もともと高校時代も劇団で作演出をされていたそうですが、カスガイを立ち上げられたきっかけは?
玉置:高校時代やっていた劇団に、深谷由梨香(柿喰う客俳優)とか、渡邊安理(演劇集団キャラメルボックス俳優)も所属してて。
僕と深谷は卒業後しばらくしてから柿喰う客に所属したんですね。で、深谷と安理と集まったときに「玲央、久々に演出やらないの?」と聞かれたんです。
柿喰う客に所属して、いろんな人に出逢って、いろんな演劇観を手に入れて、その上での演出ってどんなことができるかなって。

―なるほど。
玉置:あとは、世莉さん(時間堂・黒澤世莉)と作品を作ったのもきっかけです。世莉さんみたいなことをやりたいなって思ったんです。
時間堂みたいな作品を作りたいっていうよりは、俳優教育とか、俳優との付き合い方・寄り添い方が好きだったんです。
こういう人になりたいなって思って、また演出をやりたい!と思ったんですよね。
もちろん柿喰う客でやるわけにいかないから、じゃあ自分のやりたいことをやろう!って思って立ち上げました。

―演出をするうえで、一番意識していることは何ですか?
玉置:一貫して同じなんですが、良い座組つくりをすることです。
俳優が100%のパフォーマンスを発揮できる環境をつくりたい。
キャリア・性別のような個体差で、何かを我慢しなけりゃいけないとか、言いたいことが言えない環境だったりとかが生まれないようにして、
面白いものを作るために妥協しない空間づくりを心掛けています。
個人的なことや、人とのやりとりで思い通りにいかないこともあるけど、そういうギリギリの「安全」じゃないものから生まれる大事なものを探れるようにしたくて、
そのためには「これ以上この人に踏み込んでも大丈夫だろうか」っていうところまで探れるような、安心感のある座組をつくるっていうことを大事にしたいです。

―座組って、家族よりも一緒に居る時間が長いですもんね。仕事仲間とも違う。
玉置:そう、一日の半分以上を座組で過ごす。家族よりも近いのに、血はつながっていない他人同士。面白い関係性ですよね。

 

 

とにかくまっすぐに誠実に、お客様と座組のことを大切に考えられている玉置さん。

次回は、本日配信が開始される カスガイ「リビング」についてと、柿喰う客の新作公演について語っていただきます。

 

柿喰う客 次回公演

「虚仮威」

▼三重公演
2016.12.2[金]~12.4[日]
三重県文化会館 小ホール

▼仙台公演
2016.12.17[土]~12.18[日]
エル・パーク仙台 スタジオホール

▼東京公演
2016.12.28[水]~2017.1.9[月]
本多劇場

▼大阪公演
2017.1.19[木]~1.22[日]
ナレッジシアター

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劇団突撃インタビュー★第0弾は20年の歴史に幕を降ろすあの劇団代表者!

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いつも演劇.jpをご覧いただき、ありがとうございます。

今回新しいコーナーといたしまして「劇団突撃インタビュー」を始めることとなりました。

■劇団突撃インタビューって?

【観劇三昧】とつながりが深い、噂の「あの人」に観劇三昧が突撃インタビューします!

役者/脚本・演出家/劇団代表など、普段は舞台の上でしか見ることができないあの人の、

なかなか聞けない本音や裏話、演劇に対する想いを存分に語っていただきます。

これを読めばもっと劇団が好きになるかも?知らない劇団なら、知るきっかけになるかも?

そんな、日常にちょっとしたワクワクをお届けする新コーナーです。

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新コーナーということで、第0弾!プレオープンを実施します。

今回ご協力いただいたのはこの方!

先日衝撃の劇団解散を発表された「時間堂」堂主(代表)であり、作演出家のこの方。

黒澤 世莉(くろさわ せり)さん!!

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はい!身内(ネクステージの社員です)!!

2016年8月よりネクステージに入社した、黒澤世莉さん。

現在は営業マンとしてバリバリ活躍されています。

本日は、社員同士という立場をちょっと忘れて、【観劇三昧】が全国展開を始めた初期時代からかかわっていただいた劇団の代表者として、

色々なお話しを伺ってみました。

■時間堂

1997年演出家・黒澤世莉のユニットとして設立。2009年劇団化。

マイズナー・テクニックを基礎とし、国内外の古典から書き下ろしまで幅広い演目を「俳優の声と身体と関係性だけでシンプルに立ち上げる」上演スタイルが特長。

2014年、東京・赤羽にスタジオ「十色庵」を開設。2016年からは、飲食と観劇を楽しめる「時間堂レパートリーシアター」を毎月上演している。

『衝突と分裂、あるいは融合』で札幌劇場祭TGR2014 特別賞(作品賞)を受賞。

合言葉は「すごい、ふつうの演劇。ふつうの、すごい演劇」

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公式HP:http://jikando.com/

Twitter:@jikando

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■黒澤世莉

1976年9月1日生まれ、東京出身。

1997年、演出家・黒澤世莉のユニットとして時間堂を設立。2009年に劇団化。

主に演出と執筆、翻訳を手掛ける。公共劇場との共同制作など外部演出・台本提供も多数。

俳優指導者としても新国立劇場演劇研修所、円演劇研究所、ENBUゼミなどで指導を歴任。

TGR札幌劇場祭作品賞、佐藤佐吉賞優秀作品賞、演出賞受賞。

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blog: http://handsomebu.blog.jp/

Twitter: @serikurosawa

Facebook: https://www.facebook.com/seri.kurosawa?fref=ts

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―1997年以前って演劇活動はされてたんですか?

黒澤世莉さん(以下黒澤):高校演劇はしてましたけど、ちゃんと演劇始めたのは1997年からです。

―演劇を始めたきっかけは?

黒澤:それよく聞かれるんですけどね。これっていうきっかけはなかったんですよ。
小学校で学芸会とかあるじゃないですか。それが、音楽と演劇に分かれてて、僕は演劇を選んだんです。
なぜかは今でもわからない(笑)人前で何かをするのが好きだったのかって思うんですが、そんなに積極的なタイプでもなかったですし。

―それが初めて関わった演劇、というわけですね。

黒澤:それを演劇と呼んでいいならね(笑)

―初めて観た演劇作品って何でしたか?

黒澤:記憶に残っているのは、外国の演劇を一人で観に行ったっていうのを覚えてるんです。小学校4年生の時に。
中世の格好をした男の人が喋っていた記憶はあるんですが、何の話なのかは全然覚えていない(笑)

―外国の演劇を、日本語で演じてたんですか?

黒澤:いや、確か字幕かイヤホンガイドがあったと思うんですが…記憶が曖昧で。

―小学校4年生でそれって、なかなか英才教育ですね。

黒澤:そうですね、両親とも、もともと俳優だったので。

―へぇ。そういうところも(演劇を始める)ルーツになってたりするんでしょうか?

黒澤:演劇をやれって言われたことは一回もないんですけどね。僕が生まれる頃には(両親は)現役を退いてましたし。

―俳優はやらなかったのですか?

黒澤:始めは、俳優やりたかったんですよ。それで演劇を始めて。
オファーも来ないし、じゃあ自分で作るかって思って演出を始めたら、そっちの方が褒められることが多かったので。

―1997年にユニットを立ち上げられた時は、ご自身で出演もされてたんですね。

黒澤:そうですね、演出したり自分で出たりしてました。今でもオファーがあれば出ますよ。ここ10年ぐらい来ないけど(笑)

―演出家のイメージが強すぎるんでしょうか。もし、演劇をやっていなかったら、どうなっていたと思いますか?

黒澤:現在進行形でなりたいのは、旅人です。

―そういえば趣味・旅って書かれてますもんね。

黒澤:ずっとバックパックを背負って、インドとかブラジルとかメキシコとか廻りたいです。

―日本に収まりきらないっていう意味では、黒澤さんぽいですね。

黒澤:旅行好きなんですよ。ただ、問題はそういう仕事はないっていうこと(笑)

―そうですね。職業・旅人は難しいですね(笑)

黒澤:旅ができる仕事、かなぁ。パイロットとか?
演劇してなかったら、本読んでるか旅してるかだったんだろうなって思います。

―なんとなく、普通の会社員っていうイメージじゃないですよね。

黒澤:事務仕事とか嫌いじゃないんですけどね。会社って、人間関係が大変じゃないですか。
いわゆる、「常識に当て込まれてしまう環境」っていうんですか?そういうの、すぐ気が病んでしまいそうで。

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俳優たちが織り成す関係性が美しいなって思う

―「時間堂」作品を通して伝えたいこと

黒澤:二つあって。一つは…演劇の面白いところって、「俳優が舞台の上にいること」だと思うんですね。
舞台上の人間が、ちゃんと泣いたり喜んだり怒ったりすることが、面白いなって思うんです。
大げさなことをするんじゃなくて、ちゃんと「生きている俳優」を見られる、っていう。
「何か」がやりたくて、それが「うまくいったから嬉しい」とか「うまくいかなくてつらい」とか、そういうのを見ているだけで面白いと思うんです。だから、俳優がそういう素敵なパフォーマンスをしているんだっていうことを、ちゃんと伝えたいです。

―それって、演劇をする上ですごく大切なことですよね。

黒澤:もちろん、演出家によって、空間を見せたい、とか解釈を見せたい、とかあると思うんですが。僕は俳優たちが織り成す関係性が美しいなって思うし、それを見たいし見せたいです。よく時間堂で使っている言葉で、「すごい、ふつうの演劇。ふつうの、すごい演劇」ってのがあるんですが。
俳優がその場にいて、ちゃんと考えて、行動する。その場に生きているっていう、当たり前のことを徹底してやれている劇団って、実はそんなに多くないんじゃないかなって思ってるんです。

―なるほど。それを、時間堂では徹底されているんですね。

黒澤:もう一つは、「不寛容」との戦い、です。

―不寛容、ですか…?

黒澤:集団ヒステリーって嫌だって思ってるんです。その場の意思が、声が大きい方に偏ってしまうことだったりするんですけど。それって、すごく危ういことなんじゃないかと思うんです。
芸能人の炎上もそうだし、震災後の原発とか、政治家とか、色々ありますけど。対立する意見どうしって、すごく否定的になってお互いに話を聞かなくなったりするじゃないですか。
「不寛容」って、「相手が言っていることを聞かない」とか「自分の世界が決まっちゃってる」とか、そういうことだな、と。そういうのって昔からすごく嫌で、それを演劇作品にも取り入れることが多いんです。

―意見の対立は仕方ないけれど、相手の意見も包み込んで話し合おう、っていう?

黒澤:わかりやすく言うと、「人の話聞こうぜ」ってことなんですけどね。
聞いてるふりして聞いていないことってすごく多いじゃないですか。話しあってるふりしてるけど、自分の中では結論決まってる、みたいな。その結論に向けて、相手を誘導しようとするっていうこと。

―ああ、そういう人は多いですね。

黒澤:それは対話じゃないですよね。でも、自分もそういうことはしてしまいます。
だから、自分も現場も、そうならないように気をつけています。

―役者が生んだ感情や考え方を受け入れて、それに合わせて演出をしていかれているのかな、という印象を受けました。
演出するうえで、大事にしているのはやっぱりそういうところですか?

黒澤:理想は、「演出」が良いとか悪いとか言われない方が良いなって思ってて。それより、「お話がおもしろかった」とか「俳優がみんなよかった」とか言われたいなって思うんです。

―確かに、時間堂は奇抜な演出をしないですよね。それは、役者の力や脚本の力に委ねたい、という意識が?

黒澤:そうですね。無印良品みたいだったら良いんじゃないかなって。すごくシンプルだけどめっちゃ着心地良い、みたいな。

―それは大事ですね。

黒澤:おかずは普通なんだけど、ご飯と味噌汁がめっちゃ美味しい定食、みたいな。

―最後にはそこに戻りたくなる、という感じですね。

黒澤:もちろん好みはひとそれぞれなので、いろんなものを好きでいて欲しいんですけど。僕らは奇抜なことや凝ったことというよりは、ものすごく手をかけてこだわっているけれども、それがお客さんにはぱっと見じゃわからない、というのがいいなって。

―職人っぽい!

黒澤:あはは(笑)

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人間は対話することが可能なのか。

―観劇三昧で配信している作品の中で、「初めて時間堂を見るならこの作品!」というのはありますか?

黒澤:それなら、「衝突と分裂、あるいは融合」ですね。なにせ、上演時間が観やすい(笑)

―1時間半ぐらいですもんね。

黒澤:舞台も、比較的現代の日本に近いし、出てくる人たちも「何話しているかわからない」っていう時間は少ないと思います。でも、テーマはちゃんと深い。「人間は対話することが可能なのか」っていうテーマに、直接切り込んでいる話だと思います。

―「衝突と分裂、あるいは融合」は、舞台装置も綺麗だし、話もわかりやすいですね。
観る前に「これを知っていたらもっと面白く観られる!」っていうこととかありますか?

黒澤:日本って、戦争に負けるまでは自分たちでも原子力の研究ってしていたんですね。
で、アメリカに戦争で負けて、研究資材とか壊されたり、研究がそもそも禁じられたりしたんですよ。
だから、日本と日本の原子力研究と研究者たちがたどってきた道、みたいなのを知っていると、「なんであの人たちはあんなに必死になって研究を続けようとするのか」っていうのがより分かるんじゃないかな、と思います。

―割と重厚な話だと思うのですが、それをわかりやすく昇華するための工夫というのは何かされていますか?

黒澤:俳優が、セリフを言う時に、あんまり「お芝居くさく」ならないけど、「明瞭に話す」ってことをする。ちゃんと、何を言っているのかが把握できて、かつ、馴染みやすく喋るっていうラインを大事にしています。

―それは、どんなお芝居でも大事なことですよね。

黒澤:そう思います。そういう、地味だけど大事なことを徹底することで、観るのがしんどくならないようにしています。

―観る側としてはとてもありがたいですね。

黒澤:あとは、俳優たちの演技も、曖昧な所がないように詰めていく。
例えば、セリフ一つとっても、「なんでこんなこと言うんだろう」とか、「どういうことを相手に要求しているんだろう」とか。目的をしっかり持つ。
そこで何が起こってほしいのか、を一つ一つみんなで共有してやっていきます。
「衝突と分裂、あるいは融合」は専門用語も多いので、そういう意味ではわかりづらいことはたくさんあると思うんですけど、「なんか今やばいんだな」とか、「これは失礼なことをやったんだな」とかいうことは、ちゃんと観客に提示できるようにしています。

―そういう、基礎的な部分をしっかり固められる、という印象ですね。

黒澤:僕は、そういうのが好きなんですよね。それが面白いのです。

時間堂<衝突と分裂、あるいは融合

 

―今一番興味のあることって何ですか?

黒澤:旅がしたいな、ってのはさっき言いましたね(笑)
最近結構疲れているので、1年ぐらい温泉に入ってたいな、っていう。
5万冊ぐらい漫画を持って、有馬温泉とかで。
漫画読んで温泉入って筋トレして、みたいな生活を送りたい。

―それは私も憧れます(笑)

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もっと演劇活動をしやすい環境にしたい

―今年いっぱいで「時間堂」は解散される予定ですが、黒澤さんご自身は演劇活動を続けられるご予定ですか?

黒澤:はい、そうですね。

―今後の目標のようなものはありますか?

黒澤:うーん、まずは「休みたい」(笑)

―なるほど(笑)

黒澤:なんかね、一回燃え尽きた感じがあるんですよ。だから、熱くなったものを冷まそうって時間を取りたくて。だから、その先のことは正直まだわからないです。
でも、やりたいことは二つあって。一つは、もっと勉強したいってこと。
最近公演するときに、「取材の量が足りないな」って思ったんです。
なんかここ最近ってすごくせわしなくて、時間に追われた感じだったんです。
だから、次やる時は、きちんと整えたところからスタートしたい。

―じっくり温めてから取り掛かりたい、というところでしょうか。

黒澤:もう一つが、若い人たちが、今よりもちょっといい環境で演劇ができたらいいなって思っているんです。もっと演劇活動をしやすい環境にしたいっていうのかな。
道路を整えてあげたい、というか。
今の世代って、「演劇するの辛い」とか「演劇やってたら変な目で見られる社会」っていうのあるじゃないですか。それって、今の世代でちゃんとしていなければ、次の世代はもっと辛くなりますよね。恨まれたくないなって(笑)

―アングラからの脱却、というか、もっと一般的な文化になってほしい、と。

黒澤:アングラはそれはそれで良い文化なんですけどね。「演劇」っていうのが、もっといい営みだよっていうことを、いろんな人に知っててほしいっていうのがありますね。

―この先の若い人たちが、もっと自由に演劇を選択できたら、とても素敵ですね。

黒澤:演劇やって「損したな」って思わせたら、悪いなって思うんです。
やりやすくしてあげたいなって思いますね。

―ありがとうございました。

 

時間堂 次回公演

時間堂最終公演『ローザ』

2016年12月21日(水)~30日(金)

十色庵

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また、演劇グッズが店頭で買える「観劇三昧日本橋店」もオープンしています♪地下鉄堺筋線 恵美須町駅徒歩5分!
■観劇三昧日本橋店
大阪市浪速区日本橋4-6-13 NTビル3F
営業時間 10:00~19:00(水曜定休)

観劇三昧日本橋店で販売のグッズがネットでも購入できます♪
■観劇三昧物販出張所
http://kan-geki.com/store/

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