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劇団インタビュー

劇団突撃インタビュー★いつかどこかにこんな話は本当にあったのでは?と思える上質ファンタジー!作・演出家に突撃★

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こんにちは!

気が付けば今年が4分の1終わりました!怖い!

桜が咲いたことにテンションが上がって買ったばかりの春服で外出したら、本当に寒くて泣きそうになりました。

年々春服着られる時期短くなっていませんか?

さてさて、劇団突撃インタビューのお時間です。

 

■劇団突撃インタビューって?

【観劇三昧】とつながりが深い、噂の「あの人」に観劇三昧が突撃インタビューします!

俳優/脚本・演出家/劇団代表など、普段は舞台の上でしか見ることができないあの人の、

なかなか聞けない本音や裏話、演劇に対する想いを存分に語っていただきます。

これを読めばもっと劇団が好きになるかも?知らない劇団なら、知るきっかけになるかも?

そんな、日常にちょっとしたワクワクをお届けする新コーナーです。

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本日のお相手は…

【彗星マジック】主宰、作家・演出家・デザイナーなどなんでもこなすこの方!

実は弊社のデザイナーが、あなたのデザインのめちゃくちゃファンらしいです。今度話しかけてあげてください。

勝山修平さん!

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■勝山修平

1981年10月5日生まれ、A型。

滋賀県近江八幡市出身。

劇団「彗星マジック」主宰。「clickclock」代表。

作家・演出家・デザイナー。

空想に現実としての「痛み」「喜び」を持たせた世界を創造中。

外部ではフライヤーデザイナー、演技指導にショーアドバイザー、

役者としての出演など、多岐にわたって活動している。

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FB:https://www.facebook.com/syuhei.katsuyama

Twitter:https://twitter.com/katsuyamades

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■彗星マジック

2008年、勝山修平によって旗揚げ。

「そんな国が隣にありそうな、昔こんな時代があったような、未来こんなことになりそうな」

緻密な世界観を持った「無国籍ファンタジー」を得意とする。

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HP:http://suiseimagic.uijin.com/

FB:https://www.facebook.com/suiseimagic/

Twitter:https://twitter.com/suiseimagic

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―彗星マジックさんの略歴を確認させていただくにあたって、2008年以前の情報があまりなかったんですが、彗星マジックが立ち上がったときはどんな感じだったのでしょうか。

勝山修平さん(以下勝山):もともとは違う劇団に所属してたんですよ。ただその劇団が二回目の公演を打つ予定だったのに、会場だけ借りて解散してしまったんです。

 

 ―おぉ(笑)

勝山:会場だけは借りられてる状態なのでもったいない、自分は役者がやりたいわけではなかったけど、その劇団の役者はまだ残ってたので、ええチャンスやと、僕が昔から書いてた作品を上演させてもらうことになって、その時にユニットとして仮でつけた名前が彗星マジックなんです。

 

―なるほど。

勝山:なので別に彗星マジックを続ける気もなかったんです。

 

―急遽立ち上げられたユニットの名前だったんですね。

勝山:そうなんです。急遽劇団の中で「だれかやりたい人おる?」って聞いたら4人挙手してくれて、その4人と客演さん、それに外部から演出家さんを呼んでなんとかやった、という感じですね。

 

―その時のメンバーは今でも彗星マジックで続けてらっしゃるんですか?

勝山:西出奈々だけですね。

 

―西出さんが立ち上げメンバーなんですね!勝山さんが演劇を始められたきっかけは何でしょうか?

勝山:僕は19か20のころまで演劇を全然知らなくて。学校の授業で観た演劇が、とても面白くなかったんですね。

 

―面白くなかった(笑)

勝山:はい。それで余計に興味を失くしてしまったんです。その後、高校時代の友達が北海道の大学行ったんです。その理由というのが「演劇やりたいから」だったので僕びっくりして、「そんなんやりたかったん?」って。

そしたら「こっちでやったら親にばれて怒られるから」「やから向こうでバレんようにやるんや」って。

 

―それで北海道まで!

勝山:北海道まで逃げた(笑)

それで彼は北海道行って、僕は普通に就職して漫画書いてたんですけど、「いっぺん遊びに来い」って言われたんです。でもなぜか日時指定されたんです。「この日に来い」って。

それで行ったら彼が所属している大学の劇団のOB、OGが立ち上げた劇団の本公演の日だったんです。その芝居がすごく面白かった。その劇団が劇団千年王國さん。

 

―そこにつながる!

勝山:なので僕がはじめたきっかけは高校時代の友人と劇団千年王國。

それ以外には何もないくらいの勢いです。本当に面白かったんです。

 

 ―それが星空発電所ですか?

※彗星マジックは2016年2月に劇団千年王國の「星空発電所」を上演している。

勝山:いや、星空発電所はその友人が主演していたんですけど僕は観てなくて、その次の「ニライカナイ」ってやつを観ました。

僕はもともと漫画書いてたんですけど、その…漫画描くのって孤独なんですよ。

 

―確かに。

勝山:寂しいんですよ。その時に「これホントにやりたいんかな」って思って。「漫画じゃなくて何か表現がしたいんじゃないか」ってことに演劇観て気づいたんです。

やっぱり孤独な作業をしていると、コミュニケーションがとりたくなるんですよね。

コミュニケーションとりながらだったらもっといいものがつくれるかもしれんなというのをまざまざと見せつけられたから、これはやるしかないと。

 

ーなるほど、ちなみに漫画ってどんな感じのを書かれてたんですか?

勝山:ファンタジーですね。

 

ーその漫画upして欲しいんですけど!

勝山:いや、それはちょっとイヤですね(笑)絶対嫌や(笑)

 

―もう漫画はかかれてないんですか?

勝山:いや、今でもたまに書きますね。

 

―演劇.jpで連載しましょうよ!

勝山:イヤやて!(笑)

 

―(笑)千年王國が彗星マジックのルーツになったのは「星空発電所」公演の時にお聞きしてたんですけど、そこにつながるとは。

勝山:そうなんです。このあともしも「憧れた劇団はどこですか?」って聞かれたらやっぱり千年王國って答えます。千年王國といしだ壱成です。

 

―お!いしだ壱成さん!

勝山:中学校の頃、野島伸司脚本の「未成年」ってドラマをやってて、その脚本といしだ壱成の演技にやられてしまって。

「なんて高校はひどい場所なんだ」と。僕これから高校生になんの怖いな。と思ったり。

それがきっかけで、初めてこの人が出ている舞台、演劇を観に行きたいと思ったんです。色々あって公演が中止になってしまったりで、結局観に行けなかったんですけど。

それでも僕は憧れた役者と聞かれたら、いしだ壱成さんって答えます。

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深くいきすぎてだれも近寄ってこれない場所に自分がいる気がして。

 

―勝山さんの作品は緻密な世界観・キャラクターとか毎回感心するんですが、物語を作るとき、どの部分から作り始めるんですか?

勝山:んー。いろんな方から聞かれるんですけど、僕未だにそれがわからないんですよ。

なにがきっかけでホンを書いてるんだろうって思いながら書いてるんです。

作品によっても違いますけどね。

一番最初に観劇三昧で配信させてもらった「アルバート、はなして」のときは友達の引っ越しを手伝ってたときに、友達の持ってたポスターがアインシュタインの舌出してるあの有名なやつで、それを見て「あ、小永井(小永井コーキ:彗星マジック俳優)っぽいな」って思ったんですよ。

 

―小永井さん!(笑)

勝山:「小永井はアインシュタイン出来るんじゃないか?こんなに似てるんだし」ってそんなきっかけから始まったんです。

 

―へええ。

勝山:そこからいろいろあって、應典院のコモンズフェスタに参加されてもらうことになって、應典院さんとは仲のいいお付き合いをさせてもらってるうちに、「ここで演劇をやる意味ってなんだろう?」と思ったんです。應典院って仏様がいらっしゃるじゃないですか。

やっぱり失礼なことはできないなと。別に僕は神様とか仏様とかを信じてるわけじゃないんですけど。

 

―え、そうなんですか!

勝山:はい。

 

―神様とか仏様の話よく書いてらっしゃるのに。

勝山:肯定も否定もしないってよくいる日本人みたいなスタンスなんですけど、やっぱり本当にいらっしゃった場合に「アルバート、はなして」って作品自体が、結果「この世界に神様はいませんよ」ってお話になっちゃったんですよ。それを仏様の前でやるのはどうだと。宗派が違うとはいえ失礼じゃないか。じゃあもし仏様が僕の前に現れたときに「お前なんてもん書いてくれたんや」と言われないものを作ろうと。

演劇で、こういう作品だからこういう答えになったんです、と自信をもって言える作品を作らないと駄目だなと思いながらアルバートを書いたんです。なのでアルバート・アインシュタインさんのことはよく勉強しました。。

 

―確かに、アルバートはその世界のことを書きながらもファンタジーを取り入れるのがすごいなぁと思いましたね。

勝山:でも、僕書いてるうちにわかんなくなりました。途中でパニックになってしまって。

3がキーワードで出てくるんですけど、僕らはいつも難しい事を考えるようになって。

複雑化していくことをシンプルに説明することこそが「理解した」ってことじゃないですか。

難しい方程式を経て経て経てってなると、どうしても考え方が固くなる。

深くいきすぎてだれも近寄ってこれない場所に自分がいる気がして。それだけはやめようと。

そこでシンプルにシンプルにとなったときに、3に「足す」でも3から「引く」でもなくただ単に「3」の次は「4」だなって、1の次は2、その次は3、さらに次は4。

そういう答えを出せないほどに頭が凝り固まった人が「4」に気付く話を作ろうという事にたどり着いたんです。

 

僕はアルバートの時が一番苦労したのでよく覚えてるんですけど。

人生って、子供の思い出の方が大きくて、年を取っていくと人生の時間も加速して

いくじゃないですか。それをやろうと思ってて。

なのでアルバートも最初は時間の流れ方が結構のんびりなんですよ。

けど戦争が始まったくらいから入院するまでにだいぶ加速するんです。

これによってアインシュタインの感じた人生の速度を表現しようとしたんです。

あと、アインシュタインが好きになる女性は全て中嶋久美子(キャパシティせまめ/まいあがれ)が演じてるんですけど。

 

―そうでしたそうでした!

勝山:一辺倒な人間をわざわざ多数用意するんじゃなくて、彼女だけにやってもらうとか。

そしてなによりも普遍的なものを作ろうとか。時代時代に合わせた、10年後に上演できないような作品はやめようとか。そういう規制を自分の中で作って、失礼のないように、人生の速度に合わせて、最後はシンプルに、そしてこの人に出てもらうんやったらこの人に一番合うことをやってもらおうとか。これが僕が作品を作るときに考えてることなんです。

だから世界観とかラストシーンではなくて多方面から、それこそ時計の1から12までを決めて、その枠の中に話を詰めていくて感じに作っていくんですけど、それでも枠の外に飛び出てしまったものは、それは絶対面白みやから残そうって決めてます。

 

―なるほど、飛び出たところをむりやり押し込むのではなくて、あえて残す。

勝山:そうですそうです!その飛び出たところが個性ですからね。

 

―なるほど面白いですね。やっぱり物書きさんの話はタメになりますね。

勝山:アルバートに限りですよ(笑)僕はいまだに書き方がわからないんですよ。カフェに行ったからってすぐ書けるわけじゃないですし。

 

―例えば、ポンと書きたいセリフがひとつだけ浮かんできて、それを言わせるためだけに一本作品を作るとか。

勝山:ああ、いいっすね!そういうの!僕も言ってみたい。僕は大抵チラシに書いてるセリフも作中に出てこなかったりしますもん(笑)

 

―今、アルバートについてたくさん聞かせてもらったんですけど、今観劇三昧で配信中の作品で一番オススメしたい作品はどれですか?

勝山:(食い気味に)ポストグラフです。

 

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―おお、(笑)アルバートじゃない。そうなんですね。

勝山:ありがたいことにアルバートが評判良くて、その次に「チムニースイープ・ラララ」って公演を打ったんですけど、「アルバートのほうがよかった」って意見をたくさんいただいたんですよ。アルバートはみんな再演とか上演とかしてくれたけど、ラララについてはまったくそういうのがない。これはヤバいぞと思ったんです。アルバートが代表作だと思われるのが嫌だったんです。

 

―え、そうなんですか?

勝山:はい。というのも、ラララもかなり自信あったんです。ただ、アルバートはアルバートアインシュタインていう実在の人物をモデルに作ったけど、チムニースイープはオリジナルでやったんです。

彗星マジックは「偉人のミッシングリンクとか偽りの歴史とかをファンタジー要素を加えて作る劇団」やと認知されたんやないかと。

それに嫌気がさして、純粋ファンタジーを作ったけども、それでも評価されないというのなら、そういうことならアルバートを超えてやろうじゃないかという思いで作ったのがポストグラフなんです。

 

―なるほど。

勝山:ポストグラフは前にインディペンデントの一人芝居で立花裕介君と「グラフ」って作品を上演したんですけど、それで感触を確かめつつ、実験を繰り返してグラフを経てポストグラフを書いたんです。

ポストグラフという言葉にも意味があって、ポストがその後って意味でグラフがグラフィックや、後は郵便のポストだったりします。

主人公のアルルって女性がいるんですけど、彼女がずっと海に向かって手紙を投げ続けてるんですよ。言うなら投函ですね。

そしてその投函してる手紙ってのが昔自分が慕ってた、絵をかいてた人に向けたものなのでポストグラフ。

そして最終的にゴッホさんが登場するんですけど、ゴッホさんは自殺してしまうんです。

その遺志を継いでじゃないですけどゴッホの死後もアルルは絵を描き続ける。

その後の絵ってのがポストグラフやったりとか。

いろんな思いを込めて。そしてなによりも僕らの次の風景はアルバートじゃなくてこれだという意味でポストグラフだったりするんです。

 

―彗星マジックの代表作を作ろうとして作ったのが「ポストグラフ」。

勝山:そうですね。

 

―彗星マジックで、もう一つ絵を描くお芝居を見た覚えがあるんですけど…

勝山:ああ、短編で「丘の上で書いた絵の話」っていう。リンクスで上演したやつですね。

 

―ああ、そうでした。なので彗星マジックはよく絵をかくなぁと思ってたんです。

勝山:もともと自分が絵描きだったからですかね?絵を描くってのがすごくしっくりくるんですよ。

 

―ポストグラフの見どころはどこでしょうか。例えばどこをみてほしいとか、こういう見方をすれば面白いというのがあれば、教えてほしいです。

勝山:舞台美術がイスみたいな、額縁みたいなものしかなくて、あとはただ暗幕で覆ってるだけのセットだったんですけど、その舞台美術をいろんな使い方をしているところと、何よりも絵を描いているときの役者の各々の描き方を見てもらえたら嬉しいです。

ゴッホだけでなくポールシニャックとかジョルジュスーラとかその時代の人間も出てくるんですけど、その人から絵の描き方を習うのではなく、その人の描いた絵からインスピレーションを得て描くという、「役を経て役者が見つけた描き方」をしてるんです。

特にアルルなんかは見たら「ああ、この子はこういう絵を描くのか」って納得してもらえるような描き方をしてるんです。

 

―絵の描き方に注目ですか。

勝山:別に僕が指示したわけじゃないんです。役者が考えたことなんです。普通に絵を描くならちょんちょんって描いてパレットをポンポンって色を乗せて描いていきますよね?

鈴木太海くん(東京ガール俳優)と上田耽美くん(耽美社主宰・俳優)が点描画家なんですけど、点描ってスタイルはポンポンって色を乗せていく。

ゴッホ役の立花くんなんかは、音から絵を描くという設定で、流れるように描くんです。リズムに乗って描くみたいに。

アルルは誠実な絵を描くんです。筆を指に挟んでたくさん用意しておいて筆を変えながら描いていくといった感じにどんどん描き方が個性的になっていくんです。それを見てたら面白いと思いますよ。

 

―そのスタイルは史実に基づいてですか?

勝山:立花くんの場合なら「グラフ」を経て、音から絵を描くという事を意識してるから、あとはゴッホの流れるようなぐしゃぐしゃっとした絵を描くために描いてるし、アルルの場合はどこかの美術展に行ったときにパレットとかいろんなものを見て自分の描き方を見つけていったんです。

 

彗星マジック「ポストグラフ

 

―勝山さんが演出をするときに、俳優に対して一番気を遣う事、こういうやり方をしたいと考えることはなんですか?

勝山:僕はあんまり人の愉快、不愉快というか、機嫌をうかがえないタイプなんですよ。

ただ、言葉にだけは正直であってほしいなと思うんです。これだけは嫌われようが絶対に言います。

 

―言葉に正直であってほしい。

勝山:はい。僕らって普段の生活は、気持ちがあるから言葉を発するじゃないですか。

 

―はい。

勝山:でも台本ってのは言葉から気持ちを作らなくてはならないので、ある意味役者さんというのは台本に甘えてるなと思うんです。このセリフさえ言えば気持ちは出来てるものだ、お客さんに伝わるもんだというのが免罪符みたいに発生する瞬間がたくさんあって。

例えば「世界で一番あなたを愛してる」って言葉を今の僕のニュアンスで言ってしまったら、あなたの一番はそんなもんなの?浅いな!って。

世界で一番愛してるから「世界で一番愛してる」と言ってほしい。そして最終的には言葉から気持ちを作るのではなくて気持ちから言葉を作ってほしい。じゃないとそこに書いてあることの意味がないですから。「うぎゃあ」でも「大好き」でも「死ぬぅー」でも同じニュアンスで言ってしまうんだったら別に同じセリフでいいじゃないですか。

だから「この時」に「この気持ち」だから「この言葉」が出るように、と徹底してますね。

 

 

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面白さっていうのはお金のかけ方じゃないし、会場の規模とか広さでもない。

 

―今一番興味があることは何ですか?

勝山:ゲームですね。

 

―ゲーム?

勝山:僕はこの話題で何度か口論になったこともあるんですけど、最近はゲームをやらない人が多いじゃないですか。スマホでソシャゲをやる人はいますけど。

僕らの世代はゲームをやると頭がバカになるようなことを聞いて育って、ちょうどその世代が今、親になっている世代なんですよ。だから周りが「子供にゲームなんかやらせない」って言うんですよ。

まぁそれはそれでいいのかもしれないのかもしれないですけど、まるであざ笑うかのように言うんですよ。マンガもそうですけど「バカなコンテンツ」だと。

マンガならコマとコマの間の白い空間を5ミリにするか1センチにするかで目線の届く時間が0.05秒変わるのでそれを計算に入れて描いたり、ゲームのインターフェースにしても画面の見やすさとか操作するボタンをどれだけ減らせるか考えて作られてるんです。

大人の真剣な知識とか経験の集大成で作られたものを、そうと知らずに小バカにしてるのが嫌いなんです。

あと、僕はドットゲームが好きなんですけど、今ってドットゲームは下火じゃないですか。CGで実写と変わらないレベルの大作を作れるようになったから。

けど今でもドットゲームは進化してるんですよ、無くならずに。いろんな人がインディーズで作ってて、なんかそれって僕らのやってる「演劇」に似てると思ってるんです。

最近は演劇でも2.5次元が流行ってて、それってゲームの分野でいうと大手大作RPGとか海外産ゲームとかかなって。どんどん派手で規模が大きくなっていく。

それに対して僕らの作ってるものはどうしてもそうはいかない。プロジェクションマッピングは難しいし、広い場所でもなかなかできない。

でも面白さっていうのはお金のかけ方じゃないし、会場の規模とか広さでもない。もっと他にあるんじゃないか。

もしもドットゲームが使い古されたものなのであれば、とうに駆逐されていくものだけど、今でも面白いものがいっぱい出ていて、しかもちゃんと進化していってる。

中にはお金のかかった大作とは比較にならないほどの面白い体験をさせてもらえることもあります。それは単純に勇気づけられるし、自分にも可能性があると思える。なのですごく興味がありますね。

 

―思いのほか深いお話しでした!

勝山:でしょ(笑)

 

―でも実際問題、仕事や演劇をやっていると忙しくてゲームする時間ってなかなか取りにくくないですか?

勝山:いや、します。昔は忙しい中でゲームをすることに罪悪感があったんですよ。

今は無いかと言われれば嘘になりますけど。

でも結局のところ効率がいいんですよ。リフレッシュしたほうが。

 

―なるほど。

勝山:8時間あるとしたら5時間仕事して1時間休んで2時間ゲームするほうが8時間ぶっ続けでやるよりもいい仕事が出来てることが多いんです。なので時間の使い方に気を使いますね。

なんとしても気持ちよく仕事がしたいんです。

 

―大事なことです!(笑)勝山さんはデザインのお仕事もされてますから、一人で黙々と作業することが多いですよね。

勝山:そうなんです。だから余計にですね。

 

―長く黙々とやればいいってものではないという事ですね。

勝山:そうです。だからこそ集中できる環境を作るのには気を使いますね。

 

 

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教えてもらう、っていいですよ。人の性格が出るから。

 

―今後演劇を続けるにあたっての目標は何ですか?

勝山:目標ですか。結構いろいろとあるんですけど、彗星マジックの本公演を北海道のコンカリーニョでやりたいというのが一つですね。

 

―千年王國に届きたいという感じですか?

勝山:届きたいというより、インデペンデントの一人芝居で使わせてもらったときに、すごくいい小屋だったんですよ。それに千年王國に限らずintroとかyhs、それこそTEAM NACSもそうですし、北海道は演劇が熱いなと思うんです。

東京もすごいとは思いますけど、僕には土のにおいがする場所で作られている演劇が性に合ってるという意味と、自分が良いと思ったコンカリーニョさんで本公演をしたいんです。

あとはコンスタントに公演をうてたらいいな、というのが劇団としての目標です。

 

―目指すは劇団で北海道、ですね。勝山さん個人では?

勝山:個人としては火曜日のゲキジョウのスタッフをしたり、デザイナーをしたり、あとは舞台監督に音響照明、とにかくせわしなく手を出して、いろんなところとつながりたいと思っています。自分の立ち位置はどこなんだというのを探したい。

 

―確かに本当に忙しく色々動かれてますよね。

勝山:だってみんな面白いもの作るじゃないですか。

僕は別にいなくてもいいと思うんですよ。

それを言い出したらだれでもそうやと思うんですけど、演劇はいい意味で責任感が無い分野だと僕は思ってて。もちろん例外はありますけど。

例えば僕が死んでしまったら、会社がなくなってしまう。社員全員が路頭に迷ってしまうというわけではない。

社会的責任が希薄な場所だからこそ、自分たちがやりたいとか、少数やけど熱心に応援してくれるお客さんのためにとか。

もっと売れたいって向上心もありますけど、なにかしら「途上」のために我々はやってるわけで。

途上であるのならば、いろんなものを体験したいし、いろんなことを体験してる人と出会いたいなって。じゃあそれをするにはなるべく新しい事を体験して、教えを請いたい。

何かひとつを突き詰めていくのも楽しいと思いますけど、それは一人でパソコンに向かいます(笑)

 

―一生勉強というわけですね。

勝山:それはイヤですけどね(笑)教えてもらう、っていいですよ。人の性格が出るから。

いろんな場所でいろんな人に教えてもらって、出来ることなら役に立って、演劇を続けられたらいいなと思います。

 

―ありがとうございました。

 

勝山修平 次回公演

CLICKCLOCK Re:1曲目「その夢、むこう【再編】」

 

5月6日(土)14時・17時・20

5月7日(日)11時・14時・17

会場:FreeStyleStudio 金毘羅

 

▼詳細

https://clickclock2013.jimdo.com/%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E5%85%AC%E6%BC%94/

 

 

 

 

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劇団突撃インタビュー★動物目線で世界や人を描く!干支を一周した劇団の向かう先は?座長に突撃!

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今年もあっという間に1か月が過ぎましたね。時の流れが加速している!

今年初めての(ごめんなさい…!)劇団突撃インタビューです☆

 

■劇団突撃インタビューって?

【観劇三昧】とつながりが深い、噂の「あの人」に観劇三昧が突撃インタビューします!

俳優/脚本・演出家/劇団代表など、普段は舞台の上でしか見ることができないあの人の、

なかなか聞けない本音や裏話、演劇に対する想いを存分に語っていただきます。

これを読めばもっと劇団が好きになるかも?知らない劇団なら、知るきっかけになるかも?

そんな、日常にちょっとしたワクワクをお届けする新コーナーです。

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本日のお相手は…

超人予備校座長!超人予備校の全作品を作・演出を手掛けるこの方!

魔人ハンターミツルギさん!

やだ渋い!

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■魔人ハンターミツルギ

劇作家、演出家、役者。劇団「超人予備校」主宰。
1968年6月5日生まれ、兵庫県尼崎市出身。
1992年~2004年「遊気舎」に所属。
2005年「超人予備校」旗揚げ。以来、現在まで全作品の作・演出を手掛ける。
「鶴に恩返し~例えば火の鳥の飲む麦茶~」で第13回OMS戯曲賞最終候補ノミネート。
2013年朗読ユニット「ミツかね堂」を開始。
ラジオドラマ、童話、落語台本、イベント構成、外部への台本提供や構成・演出、また、東京でのイベント出演や2度のアメリカ公演で作品を発表している。

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公式ブログ: 魔人ハンター「徹子の部屋」

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■超人予備校

2004年発足、2005年に旗揚げ公演『鶴に恩返し~例えば火の鳥の飲む麦茶~』上演以後、魔人ハンターミツルギ作品を上演。
干支にこだわる作品を作り続け、今年で13年目を迎える。
動物などの目線で世界や人を描くコメディーを得意とする。
本公演以外にも、台本なしのイベント『ラボライブ』、天王寺動物園でのファミリー向け公演『おはなしえん』など幅広く活動中。
2度にわたるアメリカ公演も行っている。

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劇団HP: http://www14.plala.or.jp/choyobi/
Twitter: @choyobi
FB: https://www.facebook.com/choyobi/

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■ミツかね堂

魔人ハンターミツルギ(劇団超人予備校)作の童話を、ふくいあかね(劇研「嘘つき」)が朗読する夫婦ユニット。最近はミツルギも朗読します。

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FB:https://www.facebook.com/mitukanedou/

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動物から見たら人間ってすごくうらやましいと思うんです。

―24歳で「遊気舎」に入団される前は演劇活動はされていたのですか?
魔人ハンターミツルギさん(以下魔人):していなかった。大学時代に「落語研究会」に入っていたんですが、四回生で引退して暇になったころに、遊気舎が講座をやってて、それを何回か受けたんです。
4月には就職が決まっていたので、そこでちょっとだけお芝居をかじって、サラリーマンになろうと思っていたんです。
でもサラリーマンになったらムードについていけなくて、また遊気舎の講座に戻っているうちに、遊気舎のオーディションがあったんです。
後藤ひろひと氏(当時の遊気舎座長)に「とりあえず受けたら?」って言われたんですよ、飲んでる時に。

―軽い!(笑)
魔人:僕当時はサラリーマンだったし、稽古にもそんなに参加できないしって言ってたんですが、「そんなもん受かってから考えたら?」って(笑)
で、7月にオーディションを受けて、9月にサラリーマン辞めたんですよ。そこからお芝居を本格的にやり始めました。

―大学で落語研究会をやってらしたんですね。
魔人:落語やったり、学園祭なんかでは吉本新喜劇風コントの台本をやったりとかしてました。そういうところでは僕が中心になってやってましたね。
そういうのもあって、遊気舎の講座を受け初めました。

―遊気舎の講座は、完全に演劇の講座だったんですか?
魔人:そうですね!本気でやりたいひとから趣味程度のひとまで。大学4回生の9月~3月の秋冬だけ限定でお芝居を習おうと思ってたんですけど、いつの間にかオーディション受けて入団して、っていうね(笑)
僕は滑舌が悪いから、役者をやるんじゃなくて台本書きたかったんですよ。それを後藤氏に言ったら、「役者の気持ちわかんない奴がホン書けるわけねぇじゃん」って。
「やってみろ。やってみなきゃわかんねえじゃん」と。

―台本を書くために、役者を始められたのですね。遊気舎ではずっと役者を?
魔人:そうですね、ずっと役者でした。

―超人予備校の名前の由来って何ですか?
魔人:僕が入ったころの演劇界って、いかつい人が多かったんですよ。人殺してきましたよみたいな顔して歩いてはるんですよ。古田新太さんとかも歩いてるだけで怖かったしね。
威圧感っていうんですか?そういうのを持った人が多くて。でも僕らの世代からは優しい人が増えてきて、普通の人が多かったんですけど、
超人になれなくてもそれを目指さなくちゃダメなんじゃないかって。普通の人だからこそ。
芝居やってるだけやけど、他の人よりは超えたことができるよって。

―ブログを拝見してるとプロレスがお好きみたいですけど、そういうのも由来だったりするんですか?
魔人:好きですね。超人ハルク・ホーガンとか。キン肉マンとかも。そういうとこから来てますね(笑)

―演出をされるうえでもっとも重要視されてることってなんですか?
魔人:これは遊気舎時代に後藤氏から習ったことなんですけど、「役者の人生を否定しちゃいけない。その人にしかできない役があるから」
まずホンを書いてる時点でこの人が何をすれば面白いか、何を言えば面白いかって言うのは考えてますね。

―という事は当て書きで書かれてるってことですか?
魔人:そうですね。僕はホン書きはじめるまでが長いんですよ。「よし、書ける」までに時間がかかる。書き始めると早いんですけどね(笑)。

―出演者を集めてから色々試してもらって書き始めるってことですね?
魔人:そうです。この座組で一番面白いものは何か?というのを探してますね。

―たしかに、ミツルギさんの作品観てると役者が無理をしてないなって…変な言い方ですけど、楽しそうだなって思いますね。
魔人:アンケートにもよく書かれるんですよ(笑)「楽しそうで良かった」ってね。
それでいいかって(笑)そもそも楽しくないお芝居なんてあるのか?って思うんですけどね。
いろんなお芝居がある中で、僕はこっち(楽しい芝居)かなって思うんです。

―なるほど。それにも通じることだと思うんですけど、超人予備校の作品を通して伝えたいことやメッセージはありますか?
魔人:僕は子供のころから図鑑見たり動物園行ったりして動物が好きだったので、「動物の視点で人間を見る」のをコンセプトに始めたんです。
今はどうかわかりませんけど、ちょっと前の小劇場の作家って「不幸な話」をうまく書く人が多かったと思うんですよ。

―不幸な話ですか。
魔人:一時期戯曲賞とかもノミネート作品が不幸な話で埋め尽くされてたときもあって、そのテーマならいいお芝居はできると思うけど、僕は「そうじゃないだろ」と思ったんです。。
小劇場を見に来るお客さんはただでさえ少ないのに、これじゃ広がらないと思って。もっと楽しめるものを作ったほうがいいんじゃないかって。
別にアンハッピーが悪いってわけじゃないですけど。
不幸な話って要は「人間の否定」じゃないですか。わざわざ僕がそれを書かなくてもいいかと思ったんです。それを書ける人は他にもたくさんいますから。
だからちょっとだけ元気が出る話を目指しましたね。

動物から見たら人間ってすごくうらやましいと思うんです。「にんげんっていいな」みたいに。あったかい布団で眠るんだろなって。

―あったかい布団は確かに幸せです!(笑)
魔人:それがあるだけでも人間って幸せやなって。だから人生を悲観しない。へこんだり悩んだりしてる人に「ええんちゃう?」って言ってあげるような芝居がやりたいなと思ってますね。

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―今配信中の超人予備校の5作品(「トラにパンチ!」「ほとんど人参」「エリマキトカゲ心中」「すぺどら」「骨せつサンバ」)この中で、超人予備校を初めて観る人にすすめるならどの作品ですか?
魔人:そうですね…この中で一番褒めてもらって今でも再演の声がかかるのは「ほとんど人参」なんです。多分これが今の超人予備校のフォーマットがそろった作品です。
僕の作品はみんな「嫌な事」をテーマにしてるんです。例えば「ほとんど人参」は妬みと嫉妬。テーマ的には暗いものをやってるんですけど、それをどう「楽しさ」に昇華できるかを考えてるんです。

「ほとんど人参」の時は男性陣がみんな出られなくなったので、女性中心の芝居を作るしかなくなって、せっかく女性芝居をやるんだから、嫉妬や妬みをテーマにしたほう
が一番いいかなって思ったんです。なので自分なりに激しくバトルさせましたね。

―「ほとんど人参」の見どころってどこですか?
魔人:月亭八天(現・月亭文都)さんの落語風の語りから始まって、ニランジャンのダンスと軽い人形劇もあって、あんまりストーリーを注視しなくても頭に入ってくるようになってます。
しゃべりと動きのプロが出てますからね。

超人予備校「ほとんど人参」

 

―超人予備校といえば天王寺動物園の「おはなしえん」ですが、これは子供向けに作ってるんですか?
魔人:初めは子供向けに教訓を入れた作品を作ってたんですけど、もう子供たちもそういうのに飽きてきてるなって。
それなら子供って意識じゃなくて、与えられた題材で楽しいものを作ろうと思ったんです。
子供にもわかるように言葉遣いには気を使いますけど、内容は子供と一緒に来た大人にも伝わるようなものを作っています。
僕の中で縛りがあって、あくまで天王寺動物園にいる動物を使うということです。実物を見に行ったあとでこの芝居を観ても、芝居を観終わった後に実物を見に行っても、
どちらにしろ「本物を見に行く楽しみ」を大事にしたいと思ってるんです。
それと最後に童謡を歌うんですけど、その童謡と内容がうまくシンクロするように芝居を作ってます。

―童謡は有名なところから?
魔人:そうですね。ストーリー性のあるものから使ってるので、もうストックがない(笑)一番初めは「白ヤギさんの手紙」、次に「森のマレー熊さん」森のくまさん。
3つ目が「もしもしうさちゃん」もしもしカメよですね。その次が「しましま太郎」っていう浦島太郎のシマウマ版で、今が「おさるのかごや」やってます。

―なるほど。でも動物縛りの童謡ってなると、かなり少なくなってきますよね?
魔人:そうですね。「ぞうさん」とかになってくると、もうストーリーがないんですよ!
「お鼻が長いのね そうよ母さんも長いのよ」じゃ膨らませようがない(笑)
「さっきの手紙のご用事なぁに」みたいなのならいくらでもできるんですけど。動物の童謡って意外と無くて。なので少しもじったりとかして広げていくしかないのかなって。
観てる子供がまたすごくて。完全に「志村後ろ!」状態。物を落として届けてあげるって話のときなんか「落としたで!!!」って(笑)

―(笑)
魔人:「落とした言うてんのに!!!!!」ってやじられて。わかってる。わかってるて。

―お子さんからしたら芝居観に行くぞって雰囲気では来てないですもんね。まだ観方わからないですよね。
魔人:それが楽しいんですけどね。逆に教えられることもあるし。鍛えられましたね。ただ動物園なんでね。
真裏でカバの「てつお君の歯磨き教室」とかとかぶってしまうと全然お客さん来なくなって(笑)

―完全に枠をとってくれてるわけではないんですね。
魔人:観に来てくれた人でも子供に見せながら親御さんはうつらうつらしてはりますけどそれもいいかなって。
眠くなるのはしゃあないし、動物園でもやすらぎの時間は欲しいやろなって思てるんですけどね。
僕らも子供のころは絵本読んでもらいながら寝てたでしょ?それと同じですよ。大人になってからそんな機会がないだけで。
だから大人にもそんな機会があったらいいなと思うんです。

―今ミツルギさんが一番興味あることってなんですか?
魔人:今一番ホンのネタにしたいのはやっぱりトランプさんの事ですね。

―時事ネタ!(笑)
魔人:これからアメリカはどうなるんだ?って。決してアメリカの人もトランプさんが大統領になって大丈夫とは思ってない感じがすごい伝わってくるし、まず名前が素敵でしょ?
トランプ氏って。博打のゲーム道具でしょ?一か八かに賭けはったんやなって感じがいいですよね。今一番面白いなって思う人です。笑ってる場合じゃないですけど、面白いですよね。
日本人やから笑ってられるけど向こうの人からしたらそれどころじゃないと。

―干支は一周しましたけど、今後超人予備校は新しい動物を開拓していく予定ですか?
魔人:色々考えたんですけど、干支でやってるのは、いつの作品かすぐわかるようになんですよ。今後は干支にもちょっとはこだわりますけど、これまで描いてこなかった動物をやっていこうかな
と思ってます。

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これが演劇っていうのではなくて、これも演劇ってのを僕は狙っていきたい。

 

―これからも演劇活動は続けていかれるうえでの、目標はありますか?
魔人:うーん、僕たちがここまで長く続けてこられた秘訣は、「目標を作らなかった事」と、「甘い考えを捨てない事」なんですよ。

―捨て”ない”?
魔人:ない。「この芝居やったらすごく売れっ子になるんじゃないか?」「すごい金になるかも」みたいな考えをいつまでも捨てない。卑屈な考えをすると一歩も歩けなくなりますから。
目標を立てると、達成できなかった時に落ち込んでしまう。なのであえて目標は作らなかったんです。
でも今回12周年なので、ちょっとくらいは目標持ってもいいんじゃないか?ってことで、「HEPに出る」「1stでのロングラン」そして「東京進出」。まぁできない事じゃないでしょ。
そんな大それた目標ではないですし。もう少し超人予備校が世間に認知されるといいなと思います。これが演劇っていうのではなくて、これも演劇ってのを僕は狙っていきたい。

―これも演劇。
魔人:動物園でもやってる通り、僕たちはお芝居の入り口にいたいんですよ。まずはウチから入って、「お芝居って面白いな」って思ってもらいたいたくて。
今はお芝居の入り口ってはっきりとわからなくなってると思うんですよ。

―初めて見たお芝居ってその人の今後の観劇人生を左右しますもんね。
魔人:前なら、つかこうへいさんとか に影響を受けた人たちが新感線や劇団M.O.Pを作った。さらにそう いう人たちを観て次の世代の人が出てくるっていうのがあっ たらしいんですけど。

―今は入り口はかなりふんわりしてますね。演劇はずいぶん多様化していますし。
魔人:当時の人はつかさんの芝居とかやりたい芝居があったんでしょうねぇ。その前の人は政治色が強いのが多かったみたい。そこからアングラと呼ばれるような感じになって行ったんでしょう。
やりたい芝居がある演劇人の次に出てきたんが後藤ひろひとさんとか伊藤えん魔さ んのような、映画のような芝居を作る演劇人やと思います。
それからだんだんテレビや漫画、ゲームなどサブカルの影響を受けた舞台が多くなったかな。
今はもう何をしたらいいかわからない状態になってると思うんです。
今、小劇場界を見渡すと結構古いことをやってると思うんです。

―原点回帰ってことですか?
魔人:見せ方とか感覚とかは新しいけど、軸になるところは元に戻ってる感じですね。

―超人予備校は演じる事の楽しさだったり、役者がイキイキしていたりっていう意味で、原点に近い気がしますね。
魔人:そうですかね?僕たちはみんなキャリアのない人ばっかりでやってたので、人間に見えないんですよ。「人はそんな言いかたしないでしょ」って言われたり。
それで考えて考えて「動物にしてしまえ!」って結論になったんですよ。「動物だからいいんだよ」っていらん事考えなくなるんですよ。
そうなるといろんな人に「学芸会」って罵られましてね。それだ!「大人学芸会」!この方向は間違ってない!って。
それである程度結果は出せたんですけど、「トラにパンチ!」から動物路線はもうこれ以上先がないぞって。
人間と動物を対等に書こうと考えて試行錯誤したんですが、やっぱり人間は書かないとだめだけど、動物も捨てないでおこうと。
耳と尻尾つけるだけで雰囲気は変わるし、なんやコイツって注目もされますし。
そういう路線で行こうと思ったんです。要は学芸会のテクニックですよ。けれども話は学芸会レベルではなくて、大人が観ても楽しめるように
作っていくぞと思ったんです。

初めはお客さんに見せるとこまでいかなくて役者たちが楽しんでくれる事をやろう、と思ってたら散々動員に苦戦して。
そんな時に某女優さんが、東京から観に来てくれた演劇ファンが「こんなの東京では信じられない」って言ってたよって事を教えてくれたんですけど、僕は「うるせぇ」って。

―うるせぇ(笑)
魔人:いつか落とし前つけてやるって。当時思ったんですが今年やっと東京に行くんです。
「東京では信じられない」って逆に考えれば東京には僕らみたいなのはいないってことでしょ?これをおいしいと思わないと、面白くないなと思って。
いろんな芝居があるからいいじゃないですか。でも、一時期は大阪のお芝居は、一つのことに こだわってた気がする。凄く偏った方向だけが目立ったっていうか・・・。今、多様化してきて面白いです よね。
一時期は作品もだけど、どこ観ても同じ役者が出まくってたりして。

―たしかにありましたねそんな時期!(笑)
魔人:個人だけじゃなくて劇団自体も元気ですし。今の小劇場って面白くなってきてると思いますけどね。

―確かに今劇団が元気になってる感じがしますね。
魔人:東京のほうがレベル高いって言う気は全くないんですけど、観に来てくれるお客さんが多いっていうのは羨ましい。
東京では尖った表現に特化してても人が集まるんですけど、大阪では尖りすぎるとお客さんがついてこれない。
その代わりにお客さんを満足させたいってサービス精神は大阪のほうが上だと思ってるんです。
けどそれによって成長をつぶされている人もいるんじゃないかと 思うんです。どっちもどっちなんかなぁ?

―演劇って廃れつつあるというイメージが世間的にはあると思うんですけど、今後演劇はどうなっていくと思われますか?
魔人:僕が思うのは、いつ売れてもいいように準備はしておかないと思うんです。役者はもちろんですけど、劇作家も。
昔あった小劇場ブームでお客さんがたくさん来たり、お芝居でお金儲けができるような世の中になった時に、いつでも面白いものが作れるだけの軸をしっかり作っておくことが大事だと思うんです。

団体ごととか個人ごとじゃなくて小劇場ってジャンル自体が愛されないと、一過性のブームになるんですよ。
例えばF1ブームって言っても結局はアイルトンセナブームだし、K1ブームといってもアンディフグブーム。
その人がいなくなってからは一気に人気がなくなったでしょ?そのためにはそれにふさわしい力を持った人が揃っていないとだめですよね。

―逆に考えると、誰かひとりでも小劇場からスターが出れば一気に人気ジャンルになるかもしれないってことですよね?
魔人:ですね。ただ間違ってほしくないのは舞台はテレビへの踏み台ではないってことです。舞台から有名になってテレビに出る人はたくさんいますけど、それで芝居始めるのは違うんじゃないか。
さっき言った「いつ売れてもいい準備」と「売れるための準備」は違う物なんです。前者は絶対に必要なことですけど、後者は別に舞台でやる必要はないことなんですよ。

―そうですよね。売れたいとか有名になりたいってためだけなら別に舞台である必要はないですもんね。
魔人:そうです。売れるってのはただお金儲けのためじゃなく、自分が面白いと思う事を世間に評価されるかどうか。
やりたいことできる自由があるし。

―超人予備校は観客層にも、今から始める演劇層にも入り口であってほしいですし、お芝居って楽しいものという印象を与える存在になってほしいですね。
魔人:僕たちは全然若者に憧れられないんですよ。

―確かに、わかりやすくかっこいいタイプではないですよね(笑)
魔人:昔からそうなんですけどね。
でもどんな人にもお芝居はできると思うんです。別に演技って特殊技能じゃないですから。

―ありがとうございました。

 

超人予備校 次回公演

「タイトル未定」

■大阪公演

6月9日(金)~11日(日)

道頓堀ZAZA

■東京公演

9月22日(金)~24(日)

池袋シアターグリーン

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劇団突撃インタビュー★圧倒的身体能力で「怪優」と称される、10周年を迎えた劇団の看板俳優に突撃!(その2)

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さてみなさま、お待たせいたしました!

劇団突撃インタビュー第3弾は、「怪優」玉置玲央さんにお越しいただき、たっぷりインタビューさせていただいております★

前回は、玉置さんの俳優として、また、演出家として考えていることなどを深く掘り下げてお聞きいたしました。

 

その1はこちら!

 

今回は、さらに踏み込んで、作品について語っていただいちゃいます★

 

 

FLYER OMOTE OUT

この7人でやれることに、飽きよう。

―観劇三昧で配信されている柿喰う客「無差別」では狗吉役を格好よく演じられていました。この作品の見どころは?
玉置:狗吉もすごく印象に残ってる役ですね!でも、自分というよりは、当時の劇団員7人だけでどれだけのことができるのか、という挑戦をしていたんです。
中屋敷(柿喰う客主宰/作演出)も、よく言うんですけど。この7人でやれることに、飽きよう、と。

―飽きる?
玉置:そう、今やっている演劇プランにしても、座組にしても、早く飽きて、新しいことをどんどん見つけていこう、と。
で、そのバランスがなんかちょっと不思議な時期で、新しいことにどんどんチャレンジしていた。
作風にしても、稽古の進め方にしても、挑戦を色々していたな、と思い出します。
その時の劇団員全員、7人でこんなことやっちゃうんだ!という劇団の「覚悟」を観てほしいです。

柿喰う客「無差別

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「どんなもの観せてくれるんだよ、新生柿喰う客」

―柿喰う客新作「虚仮威」は、どんな作品になりそうですか?
玉置:劇団員総出演は「天邪鬼」以来1年ぶりですね。
今年一年、柿喰う客っていろんな公演・活動をしてきたんですよ。でも、劇団員全員が俳優として一同に会することが一度もなかったんです。
新劇団員が入って、男子は男子(柿喰う客フェスティバル2016 『フランダースの負け犬』)で、女子は女子(柿喰う客フェスティバル2016 『露出狂』)でやってましたしね。
一人は海外に行ってましたし。

―あれだけ色々されてるのに、揃われなかったんですね。
玉置:そうそう。で、ようやく集まったんです。
だから本当は、中屋敷も出演してほしいんですけどね。13人で、やれることやったほうがいい。

―確かに、一瞬でもいいから舞台に立ってほしい気になりますね。
玉置:まあ、作演出なのでもちろん参加はしているんですけどね。
勝手知ったるメンバーで、人によっては13~4年、一緒にいましたから、演劇をやる上での「相手を愛せる可能性」ってのは、なんとなくもう判ってきてて。
それもあって、中屋敷は劇団員を増やしたんですよ。
そうなると、今度は真逆で。まったくゼロの、純粋無垢なコミュニケーションを取るわけですよ。
俳優として何ができるか、どういうこと考えているのか、全く知らないひとと、「劇団」でコミュニケーションを取っていくってことが、すごく新鮮で。
だから、今はとにかくそれを探っています。劇団として、劇団員としての共通言語や共通認識を持つことに躍起になっている。
今までのメンバーだけで良かったじゃんとか、メンバーが増えたことに対して特別な違いがなかったとか思われたら意味がない。
増えたからこそ作れる作品、作品の意味。やっぱり劇団としての「覚悟」を観てもらいたいです。

―観る方にも、覚悟が要りそうですね。
玉置:それ!そうなったらいいなぁって思っているんです。
敷居を高くするつもりは全然なくて、「どんなもの観せてくれるんだよ、新生柿喰う客」ってぐらいの感じで観てもらいたいですね。

―新しく劇団員が増えたのは、久しぶりのことだったんですか?
玉置:5年ぶりに6人が増えたんですよ。今までが7人だったので、新しいひとと元々いたひとと、半々ぐらい。
状況ががらっと変わった。だから、どうなるのかなって思っています。
今までの柿喰う客から、何が変わるのか。僕も楽しみです。

 

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「演劇の地図」を作りたいって思っていて。

―先日配信が開始されたカスガイの「リビング」を作るにあたって、どんなメッセージを込められましたか?
玉置:09年の作品ですしね、見直してみて、僕若ぇなー!って思いました(笑)
当時考えてたことは「死んでも仕方ないよ、生きてた方がまだいいよ」っていうこと…かなぁ。
わー、観てもらいたいな、話すより(笑)

―そこを何とか!(笑)
玉置:第2回公演の「バイト」でもそうなんですけど、「人が人のために生きる、人のために死ぬ」みたいなのが好きだし、しゃらくせぇ!って思うんですよ。
「リビング」って3つの意味があって、Living Room、生きている(live+ing)、出ていく(Leaving)の3つ。
この中でも、「生きる」っていうことをカスガイでは主題としています。
あと、SF(セックスファンタジー)、性にまつわるお話をテーマに入れていますね。
生きる上でどうしようもないことにとらわれたり、とらわれなかったり、それで起きるごたごたとかが好きなんです。
「リビング」の時は、とにかくそういうのをトゲトゲしく出してみよう!って思ってました。

―トガっていた感じとか、まさに若さですね。
玉置:メッセージ性が強い、っていうと言葉はいいんですけど、とにかく主張の強い作品でした。
うるさいわ!玉置のやりたいことはわかったわ!ってなる作品だと思う。実際そういう感想もいただきました。
でも、自分のやりたいことやろうと思って立ち上げた団体で、やりたいことやらなかったら意味わからないじゃないですか。
だから好き放題やらせてもらったんですよね。
メッセージは、やっぱり「生きる」ってことですね。

―生きるのって楽しいよ、ってこととか?
玉置:生きるのってしんどいな、だったり、面倒くさいな、だったりも。
生きるよね、人って!ってことだと思う。
もう、色々語るよりとりあえず観てほしい!(笑)

カスガイ「リビング」

―カスガイの新作は予定ありますか?
玉置:やりたいことは無限にあるんですよ。カスガイでは「演劇の地図」を作りたいって思っていて。
同じ街、都市だけど違う場所、違う時代のことを描いているんです。
出てくるのは架空の街なんですけど、そこに細かい設定とか…建物や歴史、時代背景なんかを用意していて。
それに則って、原案を作っているんです。そこに今一番伝えたいこと…憤りとか、悲しいこと、とかを乗っけて届けていけるといいなと思っています。
上演予定は未定だけど、こんな話にしたい、こんなことをやりたい、という原案は、すでに7公演ぶんぐらいできています。

―街があれば人がいる、人がいればそれだけ物語が生まれますもんね。
玉置:今のところ、各作品に必ず名前だけでも出てくる登場人物が3人います。もちろん架空の人物ですが、今後の作品も、この3人にまつわる話になると思います。
来年、再来年には次回公演がやれたらいいな。

―それは楽しみです!ぜひ大阪でも公演してくださいね。
玉置:大阪には絶対来ます!

―ありがとうございます!それまでに「リビング」も「バイト」も観たいですね。
玉置:そうそう、「リビング」が動員888名、「バイト」が2000名なので、「バイト」を観たけど「リビング」を観てない、ってかたの方が多いんですよ。
「リビング」が上演されたのはだいぶ前ですし、DVD販売しなかったので。
実は「バイト」には、「リビング」を観ているとなお楽しめる、っていう内容がいっぱいあったんですよ。
「バイト」を観たときに「何だこの設定?」ってなった方は、ぜひこの「リビング」を観て、3年ぶりの答え合わせ、伏線回収をしてもらいたいですね。

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演劇の世界を軽やかにお散歩ができたらいいなって。

―今後、演劇活動を続けていく中で、目標を教えてください。
玉置:「演劇を散歩する」が最終目標ではないけど、最近のテーマです。
諸先輩がたの「頑張って、無理をして」演劇をやっていない姿に衝撃を受けたんです。
演劇が在ること、演劇で生活をしていること、それが当たり前なんです。
生活の一部になっているんですね。起きて「ご飯を食べる」が当たり前なように、生きて「演劇をする」。
それってすごく素敵だなって思いました。
僕の場合は、それをさらに遊ばせて、演劇の世界を軽やかにお散歩ができたらいいなって。

―とても玉置さんらしい感覚ですね。
玉置:演劇って、難しいものではないんですよ。もちろん誰でもができるものではないけど、敷居が高いものではないんです。
それは、演劇に携わるにしても、演劇を観るにしても。
飄々と演劇を「生きる」人がいて、それを見て、「ああ、これぐらい身近なものなのか演劇」って思ってもらえたら、
演劇というものが柔らかくなって、いろんなところに波及していくんじゃないかな、そうなればいいなと思っています。

―ありがとうございました。

 

柿喰う客 次回公演

「虚仮威」

▼三重公演
2016.12.2[金]~12.4[日]
三重県文化会館 小ホール

▼仙台公演
2016.12.17[土]~12.18[日]
エル・パーク仙台 スタジオホール

▼東京公演
2016.12.28[水]~2017.1.9[月]
本多劇場

▼大阪公演
2017.1.19[木]~1.22[日]
ナレッジシアター

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