時間さえあれば、ずっと居れるな~って場所、ありますか?
こんにちは、スタッフのももです。

昔は、週末になると父と二人でよく本屋さんに行ってました。
漫画も小説も雑誌も、毎週新しいものが並んでいて、結構すぐに時間が過ぎていくんですよね。

時間があればあるだけそのまま居れてしまいます。

最近は、いかに早く目当ての本を見つけ出せるか、というのが課題になってしまい、なかなか新しいものと出会う時間を取れないのが、残念なところです。

図書館にも久しく行ってないな…
あの本棚がたくさん並んでいて、ぎっしりと本が詰まっていて、独特な匂いがする空間、好きです。

 

そんな、沢山の本が並ぶ書架をモチーフに活動している劇団があります。

shelf

“shelf”はbook shelf(本棚)の意。

沢山のテキストが堆積・混在する書架をモチーフに活動を展開。俳優の「語り」に力点をおきつつ、古典、近代戯曲を主な題材として舞台作品を制作し続けている。2016年4月法人(一般社団法人)化。

演劇や舞台芸術一般を、すべて個人とコミュニティとの接点で起こる事象(コミュニケーション)であり、と同時にそのコミュニケーションの様態を追求し、関わり方を検証し続けてきたメディアであると考えて活動を展開。主な活動の拠点は東京と名古屋。所属俳優 4名。(2016年4月現在)


受賞歴

2008年8月『Little Eyolf ―ちいさなエイヨルフ―』(作/ヘンリック・イプセン )利賀公演にて、所属俳優の川渕優子が、利賀演劇人コンクール2008<最優秀演劇人賞>を受賞。
同年、同作品名古屋公演(会場・七ツ寺共同スタジオ)にて名古屋市民芸術祭2008<審査委員特別賞>受賞。
2011年10月、『構成・イプセン― Composition/Ibsen(『幽霊』より)』(会場:七ツ寺共同スタジオ)にて、名古屋市民芸術祭2011<名古屋市民芸術祭賞>受賞。
2014年9月、ノルウェー国立劇場・アンフィシェンにて、「GHOSTS-COMPOSITION/IBSEN」が、国際イプセンフェスティバル2014 (主催/ノルウェー国立劇場) 正式プログラムとして招聘。
2015年11月、タイ・バンコクにて開催されたLow Fat Art Festに招聘。バンコクにて滞在制作、現地アーティストとの共同制作を行った作品[deprived]は、バンコクシアターフェスティバルにて”Best Script of a Play”にノミネートされた。

(公式HPより)

 

Theatre Company shelf

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HP https://theatre-shelf.org/index.htm
Facebook https://www.facebook.com/theatre.company.shelf/
Twitter@Theatre_shelf

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今回は4作品を配信!

 

【GHOSTS-COMPOSITION/IBSEN (イプセン著『幽霊』より) :英語字幕あり】

 

【ストーリー】

ギリシャ悲劇にも比せられるイプセンの傑作。三幕の家庭劇。愛のない結婚を否定しつつも、因襲的な観念に縛られて放縦な夫のもとに留まり、夫亡き後も家名を守るため偽善に終始してきたアルヴィング夫人。夫の偽りの名誉を讃える記念式典を前に、可愛い一人息子のオスヴァルが、病を患って帰ってくる。帰国した息子は夫人の召使いのレギーネを自分の伴侶にと望むが、彼女が他ならぬ彼自身の異母妹であることを知らされる。

親の犯した過ち。その償いをさせられる子。誰もが無自覚なままに繰り返される悲劇。――法や道徳、宗教への不敬、近親相姦や自由恋愛の擁護、性病など当時の社会ではタブーであった様々な題材を取り扱いながら、近代以降の人間の精神の在り様に迫る、イプセン代表作の一つ。

「わたしたちには取りついているんですよ、父親や母親から遺伝したものが。でもそれだけじゃありませんわ。あらゆる種類の滅び去った古い思想、さまざまな滅び去った古い信仰、そういうものもわたしたちには取りついてましてね、そういうものがわたしたちには、現に生きているわけではなく、ただそこにしがみついているだけなのに――それがわたしたちには追い払えないんです。」

 

【キャスト】

川渕優子/春日茉衣/森祐介/沖渡崇史/文秉泰/三橋麻子

 

何か気が付きませんか?主にタイトル部分に。

GHOSTS-COMPOSITION/IBSEN (イプセン著『幽霊』より) :英語字幕あり

そうそう。:マークの後ろ。これはサブタイトルではありません。読んで字の通り英語字幕付きです。
これからは海の向こうのアナタ…いや、youにも観劇三昧を楽しんでいただけるというわけです。

 

さて、こちらの作品についての四方山話。

イプセンの生地ノルウェーにて隔年開催されている国際イプセン・フェスティバル
まずはそのフェスティバルのことからお話しせねばなりません。隔年9月にノルウェー国立劇場をはじめとする、オスロ市内にある11か所で、40以上の催しものが開催されるという国を挙げての演劇祭です。2016年に第15回目を迎えたそうです。ということは30年続いているのですね。
(日本語以外がてんでできないので、情報に誤りがあった場合は申し訳ありません)

 

この演劇祭のことを調べていると、まあ美しい写真がどんどん出てくる。権利の関係もありますからおいそれと載せるわけにはいきませんので、ぜひとも検索してみてください。ノルウェーって綺麗な街ですね。

で、話を戻してこの「GHOSTS-COMPOSITION/IBSEN (イプセン著『幽霊』より)」は、国際イプセン・フェスティバル(2014年)招聘作品の記録映像!

なんと!現地の映像なのです。素敵!この作品からノルウェーの風を感じることができるかもしれません。

 

また、過去に国際イプセン・フェスティバルに正式招聘された日本人チームはshelfが二組目

一組目は翻訳者、イプセン研究者の毛利三彌先生が演出した能楽「二人のノーラ」。

ということは、「現代演劇」においての国際イプセン・フェスティバルへの招聘日本人カンパニーはshelfが初!

素晴らしい功績ですね。

【観劇三昧】では昨年、世界と戦う劇団特集をリリースしたのですが、このように日本から飛び出して世界各地で活躍する姿を拝見するととても嬉しくなりますね。

 

 

GHOSTS-COMPOSITION/IBSEN (イプセン著『幽霊』より)

 

こちらは字幕なしバージョン。キャスト、スタッフは上に同じ

 

 

Hedda Gabler(英語字幕あり)

 

【ストーリー】

初演時演出ノート:

shelf2016年第一作目となる新作は、TPAM2016(国際舞台芸術ミーティング@横浜)ショーケース参加作品としておよそ120年前に書かれたイプセン傑作戯曲「ヘッダ・ガブラー」を題材に、現代を生きる私たち自身の問題や在り得るべき将来のビジョンを描きます。

以下は創作プロセスの初期段階で書いた、演出の覚え書きからの引用です。

そうだ。ヘッダは極めて凡庸な、ありふれた女性なのだ。21世紀の現在の視座から見てしまえば。それではしかし、この“戯曲”の持つ底知れない魅力は十全に引き出せない。私たちは踏まえなければならない。当時の文脈をどこまでリアルに想像し、身体で感覚しそしてそれを如何にして現代に設え直し得るか? という。(それは単に設定を現代に置き換える、等という安易な行為を指すものではない。)
例えばイプセンの戯曲には、いわゆる名台詞というものがない(と思う。)だからいつもテキレジはとても苦労する。何故なら、例えば冗長な台詞を、冗長だからといって削っていくと、何もかもが跡形もなく無くなってしまうからだ。そう、イプセンがイプセンたる所以、イプセンのテキストのエッセンスというものがあるとしたらおそらくそれは、きっとそんなところにある。つまり直接には決して語られない“意識”の流れを、どう掬い上げ、舞台の上に塑像し得るか。言葉の表層的な意味ではないそれを、しかしリアリズム的な発想から出来るだけ遠く離れて。
今回は発語のスピードを徹底的にコントロールすることから始めたいと思っている。人を取り巻く環境としての圧倒的な量の情報の渦。猛スピードで人を通り過ぎていく情報。そこに置き去りにされる人間の尊厳。
身体の不在。不在とか、凡庸さとか、空虚さ、抜け殻のような身体の表象を造形するのはしかし、頗る困難だ。それはまるでドーナツの真ん中の穴を作るような作業だから。
アクティングエリア中心にトルソーを置きたい。それはそのものそのままでなくとも良い。アナロジー、メタファーとしての人形。首のないマネキン。 それが僕にとってのヘッダ・ガブラーだ。[…]

昨今の我々日本人を取り巻く日本の、あるいは世界各所で巻き起こりつつある過剰な(そしてアンバランスな)ナショナリズムの勃興とポピュリズムの跋扈という、この時代の大きなうねりのようなものを目の前にし、個々人や集団の政治的な”振る舞い”というものに今、非常な関心を寄せています。
演劇の持つ集団創作という特徴的な創造プロセスを通して、集団を作らなければ生きていけない人類の営みが必然的にその内に孕む”政治的な振る舞い”について、今後もより一層、深く思考を巡らしていきたい。
それが人の世の出来事というものの僅かな、しかし確かな意味であり価値のあることの一つで、そしてそれが人と人とが共にその時間を生きるということなのだろうと思っています。

上演時間は80分を予定しています。
最後までごゆっくりお楽しみ下さい。

 

【キャスト】

川渕優子/三橋麻子/沖渡崇史/横田雄平/小川敦子

 

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今回書架から選び出した作品はイプセン。海外文学の棚でしょうか。

「近代演劇の父」と呼ばれ、シェイクスピアにも並ぶ有名な劇作家ですが、深く考えずに読むとわからない、文化の違いからか伝わってこない部分も多い難解な作品です。

しかし、そこに書かれているのは人間の生き様や精神の有り方など、現代に生きる私たちにも通じるテーマです。現代の劇場で上演されていることと何ら変わりはありません。食わず嫌いせず、是非挑戦してください。

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